著者
鈴木 英治 沼田 真
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.129-142, 1982
被引用文献数
4

Elymus mollis, an introduced species, was planted on the seaward slope of sand banks constructed along the coast of Kuju-Kuri Hama (sand beach), central Japan, some 15 years ago. Since that time, the zone of Elymus has advanced seaward at a speed of about 5 m/yr, which was 2.5 times as fast as that of land accretion. Since E. mollis produced few seeds at Kuju-Kuri, the advancement was solely caused by the elongation of new rhizomes, whose mean length amounted to 4.8 m. Certain native species such as Carex kobomugi established themselves behind the Elymus zone and was replacing E. mollis. Saccharum spontaneum var. arenicola, which was planted on the opposite (landward) slope of the banks, remained on the slope without further spreading, being gradually replaced by Imperata cylindrica var. koenigii. The mechanism of these changes and local differences in the semi-natural vegetation of the coast were discussed.
著者
鈴木 英治
出版者
日本熱帯生態学会
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.5-16, 1999 (Released:2009-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

カリマンタンとジャワ島に作った50 個(合計17.8 ha) の調査区の植生データから,樹木の多様性について議論した。熱帯低地林で最も多様性が高く,山地林や二次林で多様性が減少した。西カリマンタンのほうが束力リマンタンよりも多様性の高い調査区があった。同じ植生地域ですぐ近くに作った1 ha の調査地問でも共通種は5ー7 割しかなく,別の州の調査地問でも数%は共通種が出現するが,その理由を種数面積曲線から推測した。 生態的な機能面での多様性を,風散布果実と材の比重から考えた。フタバガキ科は尊片が発達する風散布と,発達しない重力散布の果実を作るが,それぞれ著しい大きさの違いがあった。また,日本のカエデ属と比較してSJz orea の羽根は変異の幅が広かった。材も特にShorea では種による比重の差が著しく,このような生態的性質が異なる種を多数もつことがアジア熱帯林においてShorea 属の優占の一因と考えられた。他の種も材の比重において温帯林より変異の幅が広かった。このように,熱帯林では分類学的に多様であるだけでなく,生態的機能も面でもさまざまな種が存在するように思われた。
著者
湯川 淳一 緒方 一夫 多田内 修 矢田 脩 上野 高敏 紙谷 聡志 加藤 内蔵進 鈴木 英治 鎌田 直人 秋元 信一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

現在、地球上では、人間が行う様々な営みによる複合的な要因によって、急激な温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨、海洋汚染など深刻な問題が生じており、それらに伴う野生生物種の絶滅や森林面積の減少、砂漠化などが危倶されている。とくに温暖化については、人間が排出する二酸化炭素やメタンなどを含む温室効果ガスの濃度が急激に上昇しており、そのため地球上の平均気温は年々上昇し、今後もそれが長く続くことが予想されている。昆虫類に対する気候温暖化の影響を整理するために、本報告では、最初に、地球温暖化と日本の気侯変動に関する背景について概観し、エルニーニョ現象や華南付近の下層南風域の拡大過程などを勘案しながら、日本付近の暖冬や梅雨、降雪など、地球温暖化にも関連した日本の夏や冬の異常気象、とくに、季節進行の異常について言及した。昆虫に及ぼす温暖化の影響については、発育ゼロ点や1世代に必要な発育有効積算温量に基づく年間世代数の増加と、チョウなどに見られる北方への分布域の拡大という二つの観点から取り上げられることが多かったが、本研究では、上記の2つに加えて、昆虫と寄主植物とのシンクロナイゼイションという観点からも、温暖化の影響について論じることの必要性を強調した。さらに、地球温暖化は農業生態系の構成種、とくに、捕食寄生性昆虫の行動や生存率などにも様々な影響を及ぼすことが懸念されることについても考察を行った。そして、これらの影響が昆虫類の局地的な絶滅、ひいては生物多様性の低下をもたらすことについても言及した。