- 著者
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鈴木 諒一
- 出版者
- 慶應義塾大学
- 雑誌
- 三田商学研究 (ISSN:0544571X)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.5, pp.1-8, 1996-12-25
平成時代に入ってから,関東地方のように大平野があり,気候も温和な地区を商工業の発展地区にしたいと云う開発計画が聞かれた。但し,京浜工業地帯や神奈川県の海岸地帯は過密地帯でこれ以上,人ロを増やすことは好ましくないし,房総半島のような小高い丘のある場所は開発計画から外してある。又,開発拠点としては,人口20万人以上の都市を中心として開発を進めれば,自らその周辺を潤おすであろうとの観察も成り立つ筈である。かくして開発拠点としては, (1)八高線より東,(2)千葉-成田を結ぶ線及び常磐線より西,(3)相模原市, (4)北は,水戸-高崎を結ぶ線より南,の地区に集中させる。そこで,先ず小売業の売上金額を考察すると,人口の大小と売上高との取引はある筈であるが,その相関を大きく乱しているのは,宇都宮市と水戸市であって,いずれも人口の割に,販売高が多い。この原因を小売業の内部構造に求める。千葉県船橋市は各種商品小売業の販売額が大きく,北関東の都市では,各専門店の売上高の割合で大きい。又,人口増加率と売上高の伸び率が大きいのは,川越市と所沢市である。第2に製造業との相関をとると,高崎市は小売業の割に製造業の出荷額が大きく,船橋市はその逆である。前者は電気機械,輸送用機械等のシェアが大きく,後者は化学工業,一般機械等の消費財のウエイトが大きい。第3にサービス業と小売業の相関を見ると,船橋市では宿泊所のウェイトが低く,自動車等の修理業のウェイトが大きい。これに対して高崎市では,宿泊所のウェイトが高く,「その他の修理業」のウェイトが低い。そして千葉県の方が群馬県より零細経営の事業所が少ない。