著者
鈴木 靖民
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.152, pp.315-327, 2009-03

7世紀,推古朝の王権イデオロギーは外来の仏教と礼の二つの思想を基に複合して成り立っていた。遣隋使は,王権がアジア世界のなかで倭国を隋に倣って仏教を興し,礼儀の国,大国として存立することを目標に置いて遣わされた。さらに,倭国は隋を頂点とする国際秩序,国際環境のなかで,仏教思想に基づく社会秩序はもちろんのこと,中国古来の儒教思想に淵源を有する礼制,礼秩序の整備もまた急務で,不可欠とされることを認識した。仏教と礼秩序の受容は倭国王権の東アジアを見据えた国際戦略であった。そのために使者をはじめ,学問僧,学生を多数派遣し,隋の学芸,思想,制度などを摂取,学修すると同時に,書籍や文物を獲得し将来することに務めた。冠位十二階,憲法十七条の制定をはじめとして実施した政治,政策,制度,それと不可分に行われた外交こそが推古朝の政治改革の内実にほかならない。
著者
鈴木 靖民
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.152, pp.315-327, 2009-03-31

7世紀,推古朝の王権イデオロギーは外来の仏教と礼の二つの思想を基に複合して成り立っていた。遣隋使は,王権がアジア世界のなかで倭国を隋に倣って仏教を興し,礼儀の国,大国として存立することを目標に置いて遣わされた。さらに,倭国は隋を頂点とする国際秩序,国際環境のなかで,仏教思想に基づく社会秩序はもちろんのこと,中国古来の儒教思想に淵源を有する礼制,礼秩序の整備もまた急務で,不可欠とされることを認識した。仏教と礼秩序の受容は倭国王権の東アジアを見据えた国際戦略であった。そのために使者をはじめ,学問僧,学生を多数派遣し,隋の学芸,思想,制度などを摂取,学修すると同時に,書籍や文物を獲得し将来することに務めた。冠位十二階,憲法十七条の制定をはじめとして実施した政治,政策,制度,それと不可分に行われた外交こそが推古朝の政治改革の内実にほかならない。

1 0 0 0 律令国家

著者
鈴木靖民編
出版者
有精堂出版
巻号頁・発行日
1973
著者
鈴木靖民編
出版者
高志書院
巻号頁・発行日
2009
著者
鈴木靖民編
出版者
勉誠出版
巻号頁・発行日
2008
著者
鈴木 靖民 佐藤 長門 酒寄 雅志 石見 清裕 田中 史生 酒寄 雅志 石見 清裕 佐藤 長門 田中 史生 馬 一虹 王 海燕 葛 継勇
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

『入唐求法巡礼行記』を中心として古代の東アジア世界における交流・交通の諸相を研究することを目的として、第一に『入唐求法巡礼行記』自体の詳細かつ丹念な検討を進め、諸本の校訂を経て、データベースを作成した。また、『入唐求法巡礼行記』の記載と円仁の行程を追跡し、具体的な交通路を復原することを目的に現地調査を行った。それらの成果は研究会やシンポジウムで広く社会に公開し、その一端を『円仁とその時代』として一書にまとめた