著者
藤原 靖弘 沢田 明也 橋本 篤 高嶋 信吾 田中 史生
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.12, pp.1081-1086, 2020-12-10 (Released:2020-12-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1

症例は52歳女性.半年前より頻回のげっぷがあり,上部消化管内視鏡検査で異常を認めず,薬物抵抗性のため紹介.腹部単純X線では胃や小腸内に著明なガス貯留を認めず.診察中も頻回のげっぷが出現したが,会話中は認めなかった.高解像度食道内圧検査および食道インピーダンスpHモニタリングの解析より,excessive supragastric belchingと診断した.認知行動療法により,げっぷの回数は減少した.
著者
蓑島 栄紀 三上 喜孝 田中 史生 笹生 衛 北原 次郎太 瀬川 拓郎 井上 雅孝 原 京子 奈良 智法 鈴木 和子 藤原 弘明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、古代日本(とくに東北地方)の文化と、同時代の北海道文化・アイヌ文化との関係について、宗教や儀礼の側面から、具体的な比較検討をおこなった。特に、宗教・儀礼にかかわる金属製品や木製品などの分布や形態、機能について検討した。それにより、アイヌ文化における宗教・儀礼の道具の源流が、擦文時代やそれ以前に遡る可能性が指摘できた。また、古代北海道やその隣接地域における宗教・儀礼の痕跡が、交易や交流において重要な場所に多くみられる傾向を指摘することができた。
著者
田中 史生
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.194, pp.329-341, 2015-03

本稿は,8世紀の日本官印と隋唐官印と比較することによって,日本律令国家の官印導入期における中国の影響と,日本官印の特質について考察するものである。考察の結果,日本律令国家の官印は,隋唐官印のなかでも紙による文書行政とかかわる「官署印」の直接的影響を受けて成立したが,その法量を唐よりも大型化させるとともに,官司のレヴェルに従って印面文字の字体や形式と組み合わせながら法量を細分化し,その区分を遵守させるなどの特徴があることが明らかとなった。また隋唐においては,御璽が一般的な命令伝達文書の作成過程で紙に押印されることはなく,諸州などに下される文書には,裁可された案件の諸司における処理ないし行政手続きが正しく行われることを保証するために六部所属の二十四司の印が押されたが,日本において命令伝達の中核に置かれた印は内印,すなわち天皇御璽で,中央政府の文書発給の全てを天皇が直接統治することに重きを置いた押印制度となっていた。さらに諸国印は,国府とそれが統括する地方の間の文書に印が押されるのではなく,中央政府と国府との関係の中での押印を基本としていた。そこには,日本古代官印の文書行政における実務的機能とのかかわりだけでなく,印の大きさ,押印の仕方,印面文字の字体・形式によって,中華日本を表現するともに,天皇の直接統治と,天皇を中心とした中央集権的なビラミッド型の官司配置という,日本律令制の理念的構造を表象ようとする古代国家の意図が読み取れるであろう。This article compares official seals of Japan and China (the Sui and Tang Dynasties) in the eighth century to examine the impact of China on the introduction of official seals in the ritsuryo nation of Japan and the characteristics of Japanese official seals. The analysis reveals that although the official seal system of the ritsuryo nation of Japan was established under the influence of Sui/Tang official seals, in particular the direct influence of government office seals which were closely connected to the document administration, the Japanese system was characterized by the following points: the official seals of Japan were bigger than those of the Tang Dynasty and classified in detail by their size as well as the typeface and style of the characters on their face according to the level of government, and the classification was strictly adhered to. In addition, in the Sui and Tang Dynasties, the imperial seal was not used when issuing general directives, and the seals of the 24 bureaus of the six ministries were affixed on documents sent to provinces in order to ensure implementation of approved documents and proper administrative procedures in each government office. On the other hand, in Japan, Naiin, the imperial seal, was stamped on directives as a rule, and emphasis was placed on the direct control of the emperor over all documents issued by the central government. Moreover, in principle, provincial documents were affixed not by the provincial government and its subordinate governments but by the central and provincial governments. These findings indicate not only the practical functions of official seals in the document administration in ancient Japan but also the intention to use differences in the size of seals, the way of stamping them, and the typeface and style of characters on their face to express the Japanese ethnocentrism and symbolize the direct rule of the emperor and the ideal structure of the Japanese ritsuryo system based on a pyramid, centralized government organization led by the emperor.
著者
田中 史生 葛 継勇 李 鎔賢 王 海燕
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

9世紀に日唐を頻繁に往来し、日中の宗教・文化史に多大な影響を与えた日本僧慧萼について、日中に分散して伝わる関連史料を収集し、これに注釈を付した史料集を作成した。また、中国現地踏査と収集した資料に基づき、慧萼の入唐活動の全体像を復元する研究論文を作成した。さらにこうした成果を収録した報告書『入唐僧恵蕚の求法活動に関する基礎的研究』を刊行し、関係機関・研究者に配布し、広く共有できる東アジア史の貴重な研究素材を活用しやすい形で提供した。
著者
田中 史生
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.229, pp.11-23,

「高野雑筆集」下巻所収「唐人書簡」の分析を通して,9世紀中葉に両浙地域を拠点とした唐人交易者の対日交易の実態を検討した。その結果,当該期に対日交易を活発化させた彼らに対し,日本は856年前後までには唐物使を派遣してその貨物に対する官司先買を強化したこと,このため唐人らは,日本に居留する近親者との面会の場面を利用し,貨物を密かに渡して官司先買を逃れようとしていたことなどが推定された。また,彼らのもたらす交易貨物には,彼らが本拠とした江南地域産のものだけでなく,その北方・南方から集められた品々が含まれていたことも確認した。
著者
鈴木 靖民 佐藤 長門 酒寄 雅志 石見 清裕 田中 史生 酒寄 雅志 石見 清裕 佐藤 長門 田中 史生 馬 一虹 王 海燕 葛 継勇
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

『入唐求法巡礼行記』を中心として古代の東アジア世界における交流・交通の諸相を研究することを目的として、第一に『入唐求法巡礼行記』自体の詳細かつ丹念な検討を進め、諸本の校訂を経て、データベースを作成した。また、『入唐求法巡礼行記』の記載と円仁の行程を追跡し、具体的な交通路を復原することを目的に現地調査を行った。それらの成果は研究会やシンポジウムで広く社会に公開し、その一端を『円仁とその時代』として一書にまとめた