著者
鍬塚 賢太郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.179-201, 2001-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

アジアへの多国籍企業の空間的展開を企業組織の側面から明らかにする上で,製造業企業であっても非製造機能に対する分析は欠かせない.本稿では電気機械器具製造業に分類される日本の企業グループを対象として,それがシンガポールに設立した「地域オフィス」の活動特性と企業グループ内での役割を明らかにすることで上記の課題に迫る.まずアジアにおける日本の電機企業グループの立地展開を把握し,シンガポールと香港への非製造機能の集積を確認した上で,シンガポールの地域オフィスにっいて考察した.地域オフィスは管轄エリアである東南アジアに立地するグループ企業を本社に代わって一元的に統括するものではない.地域オフィスはシンガポールに移管・集約することで効率的となる機能を限定的に保持しているにすぎない.それは管轄エリアにおいて主に販売会社を展開する企業グループの場合,販売に関する管理業務であり,製造会社を展開する企業グループの場合製造会社に対する本社サービスの供給拠点としての機能である.
著者
鍬塚 賢太郎 Kuwatsuka Kentaro
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.14, pp.89-119, 2004-09
被引用文献数
4

インドでは経済自由化以降、ITサービス輸出が拡大しており、インド経済に少なからぬインパクトを与えている。なかでも近年急速に成長しているのが、アメリカ合衆国を最大の需要先とする情報通信技術を活用した業務受託サービスである。本稿ではインドにおける業務受託サービス輸出の動向について把握するとともに、その生産拠点として捉えることのできるコールセンターの立地の特徴についてナショナル・スケールから検討し、大都市部へ集積していること確認した。これを受け、業務受託サービスの輸出拠点となっているデリー首都圏を取り上げて、都市スケールからみた立地の特徴を把握するとともに、それが既存の都市構造に与える地域的インパクトについて、オペレーターの就業形態に着目しながら考察した。
著者
友澤 和夫 岡橋 秀典 石丸 哲史 加茂 浩靖 鍬塚 賢太郎 加藤 幸治
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、知識経済化の下で成長しているビジネスを取り上げて、それらの成長ダイナミズムを明らかにするとともに、立地や人的側面の把握を試みた。その結果、「ものづくり」の伝統がある地域では、知識の創造や導入により第2・第3の創業がみられ、それらが成長ビジネスとなっていること、およびそれを支える地域的ネットワークの存在が確認された。一方、地方圏ではこうした地域は少なく、知識経済化のもう1つの特徴であるアウトソーシングを支える企業・業者の成長に負っていることが示された。