著者
友澤 和夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.628-646, 2004-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
24
被引用文献数
11 5

本稿では,インドのバンガロールに進出したトヨタ社の現地法人トヨタ・キルロスカ・モーター (TKM) 社を事例として,生産の小規模性に対応して構築された生産システムの特徴を明らかにした.TKM社では,当面の生産規模拡大の不透明さを前提に設備投資が抑えられ,廉価で調達できる労働力を活用した生産ラインが築かれた.部品は,同国の主要な自動車産業集積地に所在する日系企業,外資系企業,ローカル企業から調達しているが,金額的にはバンガロールに進出したグループ企業によって大部分が占められた.サプライヤーからの部品搬入には,ミルクラン方式が全面的に採用され,JITを実現しながら物流コストを削減する仕組みがっくられた.TKM社とローカル・サプライヤーとの取引金額は概して小さく,それらの取引の基本構造である範囲の経済性の追求を変えるには至っていない.日系サプライヤーの中にも,同社以外のメーカーとの取引を始めているものもみられ,インドでは取引先の多様化が競争優位を獲得する一つの方法であることが示された.
著者
友澤 和夫
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.323-336, 2000-12-31
被引用文献数
14

本稿は, 1990年代の欧米工業地理学の特徴を, (1)産業集積を最大の関心事とすること, そして(2)それを把握する分析軸が従来の生産システムを主としたものから, 知識やイノベーションの役割とその創出過程を重視した, いわば学習システムの視点を持ったものに変化していることと捉え, 当該分野の研究動向の把握を行った.ローカルミリュウ論, 学習地域論, そして集団的学習過程論の3つを取り上げ, 方法論的特性や分析視角のオリジナリティ等を論じるとともに, 若干の批判的コメントも施した.ローカルミリュウや学習地域は, 「産業地区」がいわば進化した形態と捉えられ, ローカルな不確実性低下機能やイノベーション能力を有している.知識経済化の下では, 産業集積はこうした側面を強めると考えられ, わが国の工業地理学においても理論面での消化・吸収と実証研究の遂行が必要であることを主張した.
著者
友澤 和夫 岡橋 秀典 石丸 哲史 加茂 浩靖 鍬塚 賢太郎 加藤 幸治
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、知識経済化の下で成長しているビジネスを取り上げて、それらの成長ダイナミズムを明らかにするとともに、立地や人的側面の把握を試みた。その結果、「ものづくり」の伝統がある地域では、知識の創造や導入により第2・第3の創業がみられ、それらが成長ビジネスとなっていること、およびそれを支える地域的ネットワークの存在が確認された。一方、地方圏ではこうした地域は少なく、知識経済化のもう1つの特徴であるアウトソーシングを支える企業・業者の成長に負っていることが示された。