著者
上松 佐知子 鎌田 祥仁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.951-965, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
179
被引用文献数
2

本論文では放散虫とコノドント化石に関する過去25年間の研究成果を振り返る.放散虫生層序学分野では,中期古生代から中生代までの多くのデータが蓄積されると共に,化石帯の分解能が大きく向上した.コノドント化石は90年代以降,特にペルム系と三畳系の各階境界を定義する国際的な示準化石として重要性が増している.今後は放散虫とコノドント生層序の相互較正,更に生層序と年代測定学的尺度との対比を積極的に行っていく必要がある.生物学的研究については,放散虫の系統解析や生体飼育に関して我が国から多くの研究が発信され,知見が蓄積された.また付加体地域からは三畳紀コノドントの良質な標本が多数報告され,コノドントの古生物学的研究に貢献している.今後はこれらの研究を更に発展させると共に,微化石研究の一般への普及および次世代を担う若手研究者を育成していくことが重要である.
著者
上野 勝美 黒田 潤一郎 宇野 康司 鎌田 祥仁 久田 健一郎 原 英俊 荒井 章司 チャロエンティティラット タスィニ チャルシリ パンヤ カンパヴォン ケオ ヴィライカム カムセン チャンタヴォンサ ホントン 宮東 照
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

東南アジア主要部(タイ,ラオス)において,後期古生代-前期中生代のパレオテチス海洋プレートの沈み込みに伴う島弧-縁海系の発達・崩壊過程を,野外調査および層序学,地質年代学,岩石学,古地磁気学,等の手法を用いて検討した.パレオテチス海洋底の沈み込みで形成された火山弧と背弧海盆閉鎖域は,タイ南東部-北部(クレン,ランパン,チェンライ,ナン地域)からラオス北部(ウドムサイ,ルアンナムタ地域)へと連続することが初めて示された.その結果,当該時期の東南アジア主要部には,現在の日本列島と同様の,巨大海洋のプレート沈み込みとそれにより形成された島弧火山帯,その背後に発達した背弧盆という古地理が復元できた.