著者
宇野 康司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.967-981, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
110
被引用文献数
1

西南日本に分布する三畳紀・ジュラ紀層状チャートのこれまでに蓄積された古地磁気データについて,その微弱な初生磁化からどの程度の精度で過去のプレート運動や堆積場の古緯度が読み解かれるかを議論し,また,チャートが記録する二次磁化についての情報を整理した.これまでに報告されているチャートの初生磁化方向の極性判断を行い古緯度を求めた結果,三畳紀中期には赤道付近で堆積していたことが示された.チャートはその後,南中国ブロックの東縁に付加した可能性が高い.西南日本のチャートは複数の二次磁化成分を記録しており,磁化の獲得機構による分類では粘性残留磁化,熱粘性残留磁化,および化学残留磁化の三種類が存在している.このうち熱粘性残留磁化と化学残留磁化はそれぞれ,西南日本の600km離れた二つの地域間における類似性がみられ,広域的な二次磁化であることが示唆される.
著者
上野 勝美 黒田 潤一郎 宇野 康司 鎌田 祥仁 久田 健一郎 原 英俊 荒井 章司 チャロエンティティラット タスィニ チャルシリ パンヤ カンパヴォン ケオ ヴィライカム カムセン チャンタヴォンサ ホントン 宮東 照
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

東南アジア主要部(タイ,ラオス)において,後期古生代-前期中生代のパレオテチス海洋プレートの沈み込みに伴う島弧-縁海系の発達・崩壊過程を,野外調査および層序学,地質年代学,岩石学,古地磁気学,等の手法を用いて検討した.パレオテチス海洋底の沈み込みで形成された火山弧と背弧海盆閉鎖域は,タイ南東部-北部(クレン,ランパン,チェンライ,ナン地域)からラオス北部(ウドムサイ,ルアンナムタ地域)へと連続することが初めて示された.その結果,当該時期の東南アジア主要部には,現在の日本列島と同様の,巨大海洋のプレート沈み込みとそれにより形成された島弧火山帯,その背後に発達した背弧盆という古地理が復元できた.