著者
鎌田 裕
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.181-200, 2017-05-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

核融合は,燃料がほぼ無尽蔵で安全性に優れたエネルギー源である。その研究開発は,黎明期から日本が主導する科学技術であり,JT-60装置での臨界プラズマ条件の達成をはじめ,数々の世界最高性能を樹立してきた。いまでは,要素技術開発の時代を過ぎて,システム統合の時代に入り,日米欧露中韓印の7極が協力して,核融合プラズマ燃焼と統合された核融合炉工学技術の実証を主目的とする国際熱核融合実験炉ITERの機器製作と建設(フランスのサンポール・レ・デュランス)が,2025年の運転開始を目指して進んでいる。ITERに貢献するとともに,ITERを補完して原型炉の姿を決めていくための理工学研究が,日欧協力である「幅広いアプローチ活動」を活用して進んでいる。その一環として,ITERへの貢献と原型炉のための定常高圧力プラズマ制御の実現を主目的とするJT-60SAの建設が茨城県那珂市で,核融合中性子工学研究のためのIFMIF原型加速器の建設が青森県六ヶ所村で開始された。これらの活動では,核融合エネルギー開発を担う若手研究者や技術者の育成も重要な目的のひとつである。そして,これらを踏まえ,原型炉開発の技術基盤構築を進めることを目的に,産学官のオールジャパン体制が構築され,原型炉の概念設計及び研究開発が開始された。
著者
鎌田 裕 石田 真一 小関 隆久 菊池 満
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.367-377, 1997-05-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

日本原子力研究所の大型トカマク装置JT-60は, 1996年秋,大きな目標であった臨界プラズマ条件を達成した。これは,負磁気シアモードと呼ばれる定常核融合炉に適した運転方式で得たものである。この方式は,原研が提案した動力炉概念を契機に,その後も実験および理論の両面において,原研が世界的に研究をリードしてきた定常核融合炉構想から生まれた。本稿では,これらの炉心プラズマにかかわる実験および理論の最近の進展と核融合炉開発への意義,展望を概観する。
著者
井上 光子 鎌田 裕二 坂東 慧 田口 朋 村田 秋穂 新井 梨衣那 佐々木 紗也加 林 哲範 高野 幸路 七里 眞義
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.214-219, 2019-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
25

67歳男性.インフルエンザワクチン接種2日後に口渇を認め,1週間で体重が6 kg減少した.ワクチン接種9日後に受診し,空腹時血糖329 mg/dL,HbA1c 8.4 %,尿中ケトン3+,pH 7.430,HCO3- 21.5 mmol/Lであり,糖尿病性ケトーシスで入院した.先行する上気道症状はなく,受診19日前はHbA1c 5.7 %であった.入院時,膵外分泌酵素は上昇し膵島関連自己抗体はZnT8抗体のみ陽性であった.尿中CPR 22.4 μg/日,グルカゴン負荷試験でCPR前値0.54 ng/mL,6分値1.15 ng/mLと,内因性インスリン分泌は枯渇せずに留まっていた.HLAタイピングは自己免疫性1型糖尿病の疾患抵抗性を示すDQB1*06:01:01/06:02:01であった.本症例は劇症1型糖尿病に類似し,発症にインフルエンザワクチンの関与が示唆された急性発症1型糖尿病である.
著者
下浦 享 道正 新一郎 鎌田 裕之 大田 晋輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

中性子多体系のダイナミクスの情報を得るために、不安定原子核の内部エネルギーを利用した原子核反応-発熱型荷電交換反応-を用いて軽い中性子過剰核および4中性子系の生成過程を調べることが目的である。これを実現するために、反応高分解能磁気分析装置(SHARAQスペクトロメータ)および高分解能ビームラインにおいて飛跡を分析する検出器を設計・製作し、4中性子系の生成に最も適した原子核反応(8He, 8Be→2α)で測定する2個のα粒子の検出システムを開発した。発熱型荷電交換反応による高励起状態および二重荷電交換反応による中性子過剰核12Beの生成に成功し、2012年前半に実施予定の4中性子系生成実験の礎が固められた。