著者
服部 尚子 朝比奈 昭彦 渡辺 孝宏 白井 明 鑑 慎司 渡辺 玲 岸 晶子 大原 國章
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.270-279, 2007-01-15 (Released:2008-01-15)
参考文献数
26

可変式ロングパルスダイレーザー(Vビーム®,595nm-long pulsed dye laser with adjustable pulse duration (ALPDL))は波長595nm,最大出力40 J/cm2のパルスダイレーザーであるが,パルス幅が可変(0.45ms~40ms)で,ダイナミック・クーリング・デバイス®とよばれるテトラフルオロエタンガス(-26.1℃)による皮膚冷却装置を付属していると言う特徴を有する.従来型の機種より波長の長いことから,より深くまでレーザー光が到達し,長いパルス幅,大きい出力により,より少ない副作用で,より大きな血管をターゲットとできる.ALPDLは5種類の円形のハンドピースと3x10mmの矩形のハンドピースを装着することができる.色素斑用ハンドピースは,患部の血管を障害することなく,老人性色素斑等の色素性病変を治療可能としている.ALPDLは,単純性血管腫,苺状血管腫,毛細血管拡張症,老人性色素斑,ウイルス性疣贅, 瘡,肥厚性瘢痕/ケロイド,乾癬,光老化等,様々な病変の治療に利用され,有効であるとの報告が示されている.ALPDLのこれらの疾患への治療可能性について報告する.
著者
鑑 慎司
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-19, 2011 (Released:2011-03-01)
参考文献数
70
被引用文献数
4 9

IL-23は樹状細胞などの抗原提示細胞が産生する.そしてIL-23はTh17細胞への分化を誘導し,Th17細胞の増殖,維持に必要である.Th17細胞は好中球を遊走するケモカイン,抗菌ペプチド,および他の炎症性サイトカインの発現を増強する.IL-23とTh17細胞が正常に機能する状態では宿主はカンジダ,黄色ブドウ球菌,溶連菌等の微生物を駆除できるが,Th17細胞が欠損した状態では易感染性となる.その一方で乾癬等の自己免疫疾患ではTh17細胞が過剰な状態になっていることが報告されている.また,様々な検体を用いた解析で,乾癬患者は健常人よりもこれらの微生物感染が多いことも報告されており,乾癬発病におけるスーパー抗原の関与も示唆されている.IL-23やTh17細胞の機能を理解することは,宿主の微生物に対する防御反応と乾癬などの自己免疫疾患をみるうえで重要な洞察をもたらし,感染症や自己免疫疾患の効果的な治療法の開発へとつながることが期待される.
著者
鑑 慎司
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-19, 2011-02-28
被引用文献数
9

IL-23は樹状細胞などの抗原提示細胞が産生する.そしてIL-23はTh17細胞への分化を誘導し,Th17細胞の増殖,維持に必要である.Th17細胞は好中球を遊走するケモカイン,抗菌ペプチド,および他の炎症性サイトカインの発現を増強する.IL-23とTh17細胞が正常に機能する状態では宿主はカンジダ,黄色ブドウ球菌,溶連菌等の微生物を駆除できるが,Th17細胞が欠損した状態では易感染性となる.その一方で乾癬等の自己免疫疾患ではTh17細胞が過剰な状態になっていることが報告されている.また,様々な検体を用いた解析で,乾癬患者は健常人よりもこれらの微生物感染が多いことも報告されており,乾癬発病におけるスーパー抗原の関与も示唆されている.IL-23やTh17細胞の機能を理解することは,宿主の微生物に対する防御反応と乾癬などの自己免疫疾患をみるうえで重要な洞察をもたらし,感染症や自己免疫疾患の効果的な治療法の開発へとつながることが期待される.<br>