著者
長内 厚 土屋 裕太郎 大野 貴弘
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.401-408, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
34

従来のユーザ・イノベーションは,ユーザの情報発信力は限定され,個別のユーザの情報は企業が集約して拾い集めることを前提として,ユーザを巻き込みながらも,製品や製品に関する情報は企業が統制し,市場に提供するという形態であった.しかし,ソーシャルメディアが個人の発信力を強化し,ユーチューバーが職業として成立するように個人の発信が収益化を伴うビジネスになると,製品情報の統制は企業の専有物ではなくなり,企業のコントロールの効かないところで個人が発信し,個人が発信した情報が収益化に結びつく状況になっている.ソーシャルメディアの普及に伴い,ユーザ・イノベーションは必ずしも企業の収益に結びつくとは限らず,ユーザ・イノベーションが企業の利害と対立する状況があるのではないかということが,本研究の大きな問いである.この問いを検討するため,ロバート・インの個別事例研究法を用い,資生堂とアルビオンの化粧品開発事例の定性分析から探索的な問いを求めた.
著者
長内 厚
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.4-20, 2016-03-20 (Released:2016-08-29)
参考文献数
43

本稿は,生命・健康にかかわる積極的医療技術における患者の感性や情緒を考慮した技術開発に関する探索的研究である.仮により技術的に優れた選択があったとしても,結果的に治療成績や治療後の予後の向上に結びつくのではないか,という問題意識に基づいて,高齢者の重度大動脈弁狭窄症の事例をもとに,外科的な術式開発における意味的価値創造の可能性を議論する.
著者
フェルナルド・F スアレス マイケル・A クスマノ 長内 厚 中本 龍市
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.4-20, 2009-06-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
41

本稿は,企業が自社の製品技術を支配的なプラットフォーム(PF)へと成長させようとする場合に,サービスがどのような効果を持つのかを議論するものである.サービスは,製品技術と産業の状態に応じて,5つの特別なメカニズムを持っている.サービスは,⑴市場初期に,顧客がPFを採用する際の,不確実性,複雑性を低減する,⑵顧客からのフィードバックを可能にすることでPFを改善する手がかりになる,⑶補完製品,時には競合するPFとさえ連携を可能にし,PFの価値を上げる,⑷PFを採用する顧客への補助として機能する,⑸成熟期においては,製品自体に代わって売上・利益の源泉となり,競争力を維持する手助けになる,という5つの効果がある.
著者
伊藤 宗彦 長内 厚 松本 陽一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.37-49, 2009-06-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
14

本稿は,製品事業のサプライ・チェーンにおける位置取り競争に直面した企業が,本業の製品事業に付随するサービスの提供によって優位性を獲得していることを示し,製品とサービスの融合による企業の競争優位構築の可能性について検討する.本稿では台湾の半導体製造企業であるTSMC社とフランスの家電量販店であるFNAC社の事例をもとにこれらの議論を行う.我が国の産業が,依然としてものづくりの強み持ちながら十分な収益を獲得できない現状に対して,製品・サービスの一貫した取り組みによる価値獲得の方策を示唆する.
著者
長内 厚
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.76-88, 2007-04-30 (Released:2017-08-01)

Excellent technology will be the one of key issue for business success. The customers, however, cannot judge the excellence by the technology itself immediately. They just enjoy it as features of a product. Therefore, it's important for business result that technology development activity is integrated with business activity. Through an empirical study of Taiwanese semiconductor industry at the first stage, this paper shows that definite business plan of the upper R & D division facilitates integration between technology development and business activities. Industrial Technology Research Institute (ITRI) was established at Hsinchu area in 1973 by Taiwanese government. Through ITRI's activities to develop semiconductor technology, ITRI had not make only new technology, but they had held their own business plan. Their plan shown into the industry gathering in Hsinchu Science based Industrial Park (HSIP) integrated technology development and business activities. As the result. Taiwanese industry could get competitive advantage in the world market.