著者
長田 泰公
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.19-24, 1998 (Released:2018-03-22)
参考文献数
14

女子短大生6名を対象に,日常生活24時間での騒音暴露を10分ごとに測定させた。平均の騒音レべル(等価騒音レべル,L_<Aeq>)は68dBであった。また行動別の騒音レべルを330名の学生での生活時間調査データに応用したところ,1日平均レべルは67dBであった。このレべルはUSEPAによる騒音性難聴防止基準の70dBに近い。毎日の暴露レべルのうち最も高かったのは通学,それも電車による通学時間に得られ,75dBを越えていた。地下鉄や乗換え駅での騒音レべルは地上線のそれより高く,また反響やアナウンスによって前者のほうが喧しいことがわかった。電車の中でへッドホンで音楽を聴いているときのレべルは90-100dBであった。労働基準からみると,このレべルの許容時間は1日2時間以下である。
著者
松井 利仁 平松 幸三 長田 泰公 山本 剛夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.80-85, 2003-02-01
被引用文献数
3

沖縄県は1997年に県内の飛行場周辺に航空機騒音のモニタリングシステムを設置した。本報告では,モニタリングシステムによって集積された測定資料を用い,嘉手納,普天間飛行場周辺の騒音曝露の現状を示している。両飛行場周辺では,昼夜を分かたず広範囲で高レベルの騒音が観測されており,特に嘉手納飛行場近傍では,夜間においても110dBを超える騒音レベルが記録されていた。また,防衛施設庁の定める騒音に基づく地域区分との関連を検討したところ,嘉手納飛行場周辺では,離着陸コース直下を除いて,今回算出したWECPNLが防衛施設庁の地域区分より低い値となったが,普天間飛行場周辺では両者がほぼ一致した。
著者
長田 泰公 吉田 拓正
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.599-604, 1997-08-01
参考文献数
19
被引用文献数
2

航空機騒音のアノイヤンスの構造をパス解析によって検討した研究はS. M. Taylor(1984)のもの以外には見当たらない。そこで本報では, 成田空港周辺で行われた住民アンケート調査結果(1989)を用い, 騒音のアノイヤンス(全体的迷惑感)を目的変数とし, 居住地の騒音量(WECPNL)を含む回答者の属性と生活妨害や情緒影響などを説明変数としたモデルを作り, パス解析によってアノイヤンスに対する各説明変数の効果を検討した。アノイヤンスに対する騒音量の効果は最も大きかったが, それは直接効果に加えて会話妨害, 情緒的影響などを介する間接効果が大きいためである。直接効果そのものは会話妨害, 情緒影響よりも小さい。そこで騒音によるアノイヤンスは, 騒音の直接影響に加えて具体的な個々の影響が総合された結果であると結論された。この結果は, S. M. Taylorの航空機騒音, K. Izumiらの道路騒音についての報告と一致した。
著者
長田 泰公
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.19-24, 1998-12

女子短大生6名を対象に,日常生活24時間での騒音暴露を10分ごとに測定させた。平均の騒音レべル(等価騒音レべル,L_<Aeq>)は68dBであった。また行動別の騒音レべルを330名の学生での生活時間調査データに応用したところ,1日平均レべルは67dBであった。このレべルはUSEPAによる騒音性難聴防止基準の70dBに近い。毎日の暴露レべルのうち最も高かったのは通学,それも電車による通学時間に得られ,75dBを越えていた。地下鉄や乗換え駅での騒音レべルは地上線のそれより高く,また反響やアナウンスによって前者のほうが喧しいことがわかった。電車の中でへッドホンで音楽を聴いているときのレべルは90-100dBであった。労働基準からみると,このレべルの許容時間は1日2時間以下である。
著者
平松 幸三 箕浦 一哉 松井 利仁 宮北 隆志 長田 泰公 山本 剛夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.556-564, 2000-08-01
参考文献数
24
被引用文献数
1

特殊空港周辺で実施されている家屋防音工事が生活実態上どの程度生活環境の改善に寄与しているのかを検討するため, 嘉手納基地周辺において質問紙調査を行い, 家屋防音工事の実施状況, それに対する満足度と効果の有無並びにうるささ, 生活妨害, 環境質に関する回答を分析した。その結果によると, 騒音曝露地区では, 家屋防音工事への満足度が高く, その効果を評価する回答が多かったが, 高度曝露地区ではそれらの回答率が著しく低かった。多重ロジスティック分析を行って生活妨害の反応に関するオッズ比を家屋防音工事実施群と非実施群とで比較したところ, 両群において反応に差が認められなかった。このことから家屋防音工事が生活環境を改善することにはなっていない, と結論された。
著者
松井 利仁 平松 幸三 長田 泰公 山本 剛夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.20-24, 2001-12-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

沖縄県には在日米軍専用施設面積の約75%に及ぶ基地が存在し, 沖縄本島の約20%を米軍基地が占めている。嘉手納・普天間飛行場は人口の稠密な地域に位置しており, 約48万人(県人口の38%)が環境基準を超える航空機騒音に曝露されていると推定されている。このような状況に鑑み沖縄県は航空機騒音曝露による住民影響に関する疫学調査を行った。本報告では, 航空機騒音の健康影響調査の基礎的資料として, 過去の騒音曝露量の推定を行っている。ベトナム戦争以降の現存する騒音測定資料を分析し, それに基づいて各種騒音評価量を推定している。また, 防衛施設庁が定めている騒音区分の妥当性についても検討を加えている。