著者
宮本 進生 大西 綾乃 武内 良男 前山 利幸 長谷川 晃朗 横山 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.9, pp.710-718, 2022-09-01

近年,アンテナから収集した電磁波のデータに対して機械学習により無線通信の信号を分類する研究が注目を集めている.一方で,工場等の製造現場で産業機器等から発生する電磁ノイズは発生源となる機器により発生頻度やパターンが異なるため,これらを機械学習により分類しようとすると,限られた時間で収集した学習データに含まれない未知のパターンが運用中に発生する可能性が高い.それらを既知のパターンに分類すると,発生源の異なる電磁ノイズを混同し,取るべき対策の検討において誤りを生じさせる恐れがある.未知のパターンを見つけ出す方法として機械学習の新規性検出を利用することが考えられる.しかし実際の運用では,製造現場の限られた計算資源で,学習データに基づく電磁ノイズの分類と新規性検出のための機械学習を同時並行で実行するのは負担が大きい.そこで本論文では,分類の際に得られる事後確率値から未知のノイズを検出する方法を提案する.この手法が計算資源の消費を押さえつつ,未学習のパターンを高い精度で検出可能であることを,実測データを用いて実証する.
著者
飯塚 宏之 江連 裕一郎 伊藤 哲也 長谷川 淳 板谷 聡子 長谷川 晃朗 デイビス ピーター
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.86, pp.49-52, 2005-05-19
参考文献数
9
被引用文献数
1

屋内テストベットにおいて, 無線マルチホップネットワークを構成し, TCP上で動作するFTPと, UDP上で動作するTFTPの2つのファイル転送プロトコルを使用し, 性能比較実験を行った.その結果, FTPを使用した場合, 端末間で激しい無線帯域争奪が行われ, 不安定な経路を持つ端末が安定な経路を持つ端末のファイル転送の終了を待たなければならないという不公平性が発生し, 端末間にスループットの格差が見られた.一方で, TFTPによるファイル転送はFTPより転送速度は遅いが, 無線マルチホップ環境ではFTPに比べて安定したデータ転送レートを維持することができ, 公平であることがわかった.
著者
飯塚 宏之 江連 裕一郎 松本 晃 伊藤 哲也 長谷川 淳 板谷 聡子 長谷川 晃朗 デイビス ピーター
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.405, pp.83-86, 2005-11-10
参考文献数
5
被引用文献数
8

無線通信端末だけで無線マルチホップネットワークを構成した場合と, 無線通信端末をアクセスポイントに収容しアクセスポイント間通信に無線マルチホップネットワークを利用し階層化した場合について, FTPとTFTPのスループットとその時間変動に注目し, 屋内テストベッドにて実験を行った.その結果, 無線通信端末だけで構成する場合には各クライアントでのスループットにばらつきがあること, アクセスポイントで階層化するとそのばらつきが抑制されること, および, アクセスポイント間の経路が不安定になることが確認された.これらの現象とその解析結果, および, 無線マルチホップネットワーク上のアプリケーションに与える影響について報告する.
著者
西浦 升人 長谷川 晃朗 金 鍾玉 山口 明 小花 貞夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.498, pp.1-5, 2007-01-18
被引用文献数
4

現在,有限な周波数資源の有効利用の実現に向けて,コグニティブ無線技術の研究開発が盛んに行われている.コグニティブ無線技術とは,周囲の電波環境を認識し,その状況に応じて無線リソースや通信方式を適応的に使い分け,周波数の有効利用をはかりつつユーザの所望する通信容量・通信品質を満足する技術である.また昨今,ストリーミング配信や音声・ビデオ通話といったリアルタイム性を必要とする通信の需要がますます高まっていることから,例えばビデオ会議中に巨大なファイルダウンロードの必要が生じるといったような,要求品質特性の異なる通信が一端末上で同時に発生する状況が今後ますます増えてくると予想できる.筆者らは,そのような状況においても各端末ユーザが各通信において所望する通信容量・通信品質を満足できるようにするために,複数の無線システムの適応的同時利用を前提としたコグニティブ無線アクセスネットワークの実現に向けた研究開発を行っている.本稿では,コグニティブ無線アクセスネットワークの概要について説明し,その後,コグニティブ無線アクセスネットワークにおいて,上述のようなユーザ所望の通信容量・通信品質を満足するために必要となるQoSルーティングのフレームワークについて述べる.