- 著者
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門脇 基二
藤村 忍
- 出版者
- 新潟大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
A.オートファジーに対するアミノ酸のシグナリング機構の解析1)アミノ酸シグナルのターゲットとしてのLC3の解析:肝細胞でオートファジー開始段階のマーカータンパク質であるLC3の不活性型(I型、遊離型)から活性型(II型、膜結合型)への変換がアミノ酸の刺激に応じて抑制的に制御することが示され、アミノ酸作用のターゲットがオートファゴソーム上のこの分子であることが証明された。細胞内分画をしたところ、細胞質画分にもII型の存在が認められた。この予想外の結果を追求したところ、Phase Partition法および特異的な酵素Atg4B法によるLC3のlipidationを検討したところ、いずれも否定的な結果となり、この細胞質に存在するLC3-II(LC3-Ils)は通常のもの(LC3-IIm)とは違う新しい型であると結論した。B.食品成分によるオートファジーの調節1)ビタミンCのオートファジー活性化機構アスコルビン酸(AsA)のオートファジー促進作用はアミノ酸の共存下でのみ証明された。その作用機構として、デヒドロアスコルビン酸(酸化型)も同様に効果を示したことから、その還元性は直接関与しない可能性が示された。また、AsA合成不能のODSラット肝細胞を用いて、細胞内AsAをゼロにした状態でも細胞外AsAはオートファジー促進能を維持し、またAsAの細胞内への特異的輸送を阻害してもその促進能は影響しなかったことから、AsAは細胞外から作用している可能性が示された。2)抗酸化剤とオートファジーの関係AsAとともにビタミンEも促進能を示したが、アミノ酸の共存は影響せず、両者の作用は異なることが示された。上記のAsAの結果から、単純に抗酸化性が有効であるとは考えられなくなった。さらに茶成分であるEpigallocatechin gallateにもこの促進能が認められ、広汎な食品成分にオートファジーの制御物質が存在することが強く示唆された。