著者
吉田 正友 池田 憲一 黒岩 秀介 阪口 明弘
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.10_3-10_9, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
6

日本建築学会は,火災を受けた建物の火害診断と補修・補強において考慮すべき事項ならびに標準的な方法を示すことを目的として,2010年2月に「建物の火害診断および補修・補強方法 指針(案)・同解説」を発刊した。本稿は,鉄筋コンクリート造建物に関する部分を中心に,その概要をまとめたものである。
著者
廣川 美子 阪口 明弘 日色 真帆 小倉 繁太郎 伊藤 泰行 山下 享子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

高級土壁の展示場といわれる角屋、土壁の塗りたて当初の色を再現するために、1992年2月の測定値と2000年2月の測定値の比較を行い、変化の方向と変化量を考察した。Lab表色系により色差を求めているが、L値について新旧で変化の大きい土壁は黄大津磨きと赤大津磨きであり、共にL値の高い方に変化している。C値については黄大津磨きと大阪土の変化が大きく共にC値の低い方に変化している。a値とb値について変化が大きいのは、a値は江州白の赤と大阪土であり、共にa値の低い方に変化、b値は赤大津磨き、黄大津磨き、大阪土であり、すべてb値の低い方に変化している。色差が最も大きいのは扇の間西側廊下の赤大津磨きと馬の間縁側の江州白の赤であった。聚楽土と漆喰壁の色差は少なかった。文化財壁の復元作業においては色合わせが重要な役割をもつ。今回文化財壁を形成している土、砂、すさのような粉末状の試料の色の数値化に伴う側色技術およびコンピュータを用いた色合わせを検討した。粉体の分光特性はその充填密度、厚さ、入射光を照射する側の試料面の状態に強く依存するので、充填作業に個人差がでにくいよう開発したセル厚可変の石英窓板付き粉末セルと精度よく散乱光のみを検知する正反射トラップ付き大型積分球の組み合わせ用いた拡散反射測定によってこの問題点を解決した。この測定法で得た可視スペクトルをもとにCCM(コンピュータカラーマッチング)を行った結果、目標色との色差が1.0未満の良好な結果を得た。関西には聚楽土、大阪土、浅黄土、九条土、桃山土等の色土が豊富であったが、特に利休が茶室に用いた聚楽土には格別な思い入れがある。その聚楽土を地質学的に知るために、その採集地の地層の成り立ちを調べることにした。聚楽土は平安京跡付近の地下の泥層を掘ったものである。考古学では平安京の地盤と考えている。京都盆地北部の平原は賀茂川や天神川などの扇状地でできている。扇状地礫層の上には厚さ1m程度の泥層が堆積している。その形成過程を知るために、各地の扇状地の泥層を採集している段階である。
著者
廣川 美子 瀬口 哲夫 岡村 穣 伊藤 恭行 阪口 明弘 寺田 博一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究費により以下の1.〜5.を行なった。1.蛍光X線分析装置(アワーズテック製:OURSTEX 100FA)・デジタル顕微鏡(キーエンス製:VH-8000)・分光測色計(ミノルタ製:CM-2002)を用いて、土壁の色彩及び発色元素の測定を行なった。測定場所は、京都市桂離宮御殿中書院(一の間、大ばらし工法で江戸時代の壁が残っている)、京都市妙法院(庫裏)、佐原市加瀬家(仏間)、京都市大徳寺玉林院、札幌市八窓庵、京都市杉本家、京都府綴喜郡田辺町澤井家、犬山市如庵、京都府大山崎町妙喜庵待庵、如庵写し〔京都市正伝如庵,京都市長好庵,和歌山市遊風〕、京都市島原の角屋である。加えて土壁の施工方法の解明の可能性を考察した。2.全国の伝統的建造物群保存地区のうち14の街並と内外土壁の色彩の調査を行なった。調査した街並は、千葉県佐原市佐原、埼玉県川越市川越、福岡県甘木市秋月、福岡県吉井町筑後吉井、北海道函館市元町末広町、兵庫県神戸市北野町山本通、京都市上賀茂,産寧坂,祇園新橋,嵯峨鳥居本、岡山県川上郡成羽町吹屋、鹿児島県出水市出水麓,薩摩郡入来町入来麓,川辺郡知覧町知覧である。3.佐原市佐原及び奈良県橿原市今井町の伝統的建造物群保存地区の再生計画を検討した。4.石田志朗博士の協力により、聚楽土と思われる土の地質学的成因の分析実験を従来からに引き続き行ない考察した。5.海外調査を行なった。5-1.中国福建省(南靖と永定)の土壁よりなる土楼及びその保存地区の町並の現地調査を行なった。5-2.スペイン・カタルーニャ地方の土壁を持つ伝統的集落の現地調査を行なった。