著者
阿部 東 寺山 博
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.93-103, 2009-09-25 (Released:2018-09-21)

日本産のクワガタムシ科7種の染色体を調査した.ツヤハダクワガタCeruchus ignariusは再調査に当たるが,精原細胞と減数第2分裂における染色体について,Gバンド染色,Cバンド染色,NOR染色による結果を新しく付け加え,核型構成はn=10,メタ8,サブメタ1,アクロのXY;ルイスツノヒョウタンクワガタNigiidius lewisiの染色体構成は,n=16,メタ15,サブメタX,点状Y,XYp;ルリクワガタPlatycerus delicatulusは雌の核型構成n=10,メタ8,アクロ1,アクロのX,精母細胞における染色体および性染色体の対合様式XYpなどを新しく付け加えた.ネブトクワガタAegus laevicollisはn=13,染色体構成はメタまたはサブメタ3,サブメタ6,サブメタまたはアクロが1,アクロ2,アクロのX,点状のXYp;キンオニクワガタPrismognathus dauricus n=13,サブメタ1,メタまたはサブメタ9,アクロ2,アクロX,点状Y,XYp;ヒラタクワガタの未調査の2亜種(ツシャヒラタクワガタDorcus titanus castanicola,イキヒラタクワガタD.t.tatsutai)n=6,メタ3,サブメタ2,サブメタX,点状Y,XYp;マグソクワガタNicagus japonicus n=10,メタ6,サブメタ3,メタのX,点状Y,XYpを明らかにすることができた.
著者
阿部 東 工藤 貢次 近藤 格 斎藤 和夫
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.179-186, 1969

青森県内で採集されたクワガタムシ科(Lucanidae)の4属5種について雄の染色体を調べた.それらの種名, 染色体数および性決定様式を一括して第1表に示したが, 観察結果は次のように要約される.ミヤマクワガタLucanus maculifemoratusは染色体数がn=13(I, II)であつて, 第1分裂でXY対を識別できる(第1, 2, 3図).ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusは2n=19, n=10(I), 10, 9(II)である(第4, 5, 7, 8, 19, 20, 21, 22図).この結果は利岡・山本(1937)の観察と一致する.第1分裂では, 一極に向つて先行する性染色体(X染色体)が認められる(第6, 19, 20図).アカアシクワガタNipponodorcus rubrofemoratusは2n=10, n=5(I, II)であつて(第9, 10, 11, 12図), 大型のV型染色体が精原細胞には一対, 第2精母細胞に一ケ含まれている(第9図のV, 第12図のV).またこの種でも第1分裂でXY対を識別できる(第11図).コクワガタMacrodorcas rectus(第13, 14, 15図)とスジクワガタMacrodorcas binervis(第16, 17, 18図)は染色体数は同じであつて共に2n=18, n=9(I, II)である.性染色体構成は雄がXYと推定される.従つてXO型であるノコギリクワガタはこれらのうちでは特異な種である.なお, 第1分裂でのXY対を比較すると対合様式はミヤマクワガタとアカアシクワガタがrod型であつてneo-XY型であるDorcus parallelopipedusと異つている.またアカアシクワガタとコクワガタおよびスジクワガタの染色体数の関係が注目される.