著者
雨宮 一彦 中村 由紀 新井 由紀
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
国際学院埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
no.29, pp.81-85, 2008

日本人が古くから親しんできた香辛料の中で,寿司や刺身に欠かせない薬味といえばわさびである。わさびの細菌に対する抗菌効果を確かめるため,蒸散暴露(気相法)により大腸菌と黄色ブドウ球菌を用いて実験を行った。暴露する温度条件を4℃,室温(25℃),35℃で抗菌効果を比較すると,チューブ入り加工わさび,生わさびのいずれも暴露温度が35℃時に抗菌効果が高かった。わさびに7日間継続的に暴露し続けた結果,生わさびは途中で菌の発育がみられたが,チューブ入り加工わさびは菌の発育はみられず,細菌に対する増殖抑制と共に殺菌効果があることがわかった。菌数減少の推移を定量的に測定したところ,暴露開始5時間後から徐々に菌数が減少し48時間後には生菌は全く認められなかった。わさびの主な抗菌成分は揮発性のアリルイソチオシアネートといわれる。この実験からも寒天培地に触れさせず蒸気で接触させる方法で抗菌効果が強く認められたと考えられる。
著者
雨宮 一彦 田口 文章
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.177-182, 1994-02-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

業務用に使用されているシャンプーとリンスの細菌汚染の実態を知ることを目的に, 無作為に抽出した理容店と美容店17施設から分与して貰った39検体の洗髪液について, 血液寒天培地を用いて, 細菌の分離試験を実施した. 原液を希釈して用いるシャンプーやリンス (希釈型, 21検体) と, ボトルから直接使用するもの (ポンプ型, 18検体) の細菌検出率は, 各々76.2%と33.3%であった. 細菌が検出されたシャンプーとリンス中の総細菌数は最少1.0×102CFU/mlから最大7.0 ×107CFU/mlであった. 分離菌は, Serratia marcescensが43.3%と最も多く, 他にEnterobacter aerogenes, Klebsiella pneumoniaeなどの腸内細菌とPseudomonas aeruginosaやPseudomonas cepacia などのブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌等日和見感染の原因となりうる細菌であった.<BR以上の結果は, 業務用シャンプーとリンスが細菌に汚染されている実態と, 洗髪剤の衛生的な取り扱いの必要性を明らかにした.