著者
雨宮 一彦 中村 由紀 新井 由紀
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
国際学院埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
no.29, pp.81-85, 2008

日本人が古くから親しんできた香辛料の中で,寿司や刺身に欠かせない薬味といえばわさびである。わさびの細菌に対する抗菌効果を確かめるため,蒸散暴露(気相法)により大腸菌と黄色ブドウ球菌を用いて実験を行った。暴露する温度条件を4℃,室温(25℃),35℃で抗菌効果を比較すると,チューブ入り加工わさび,生わさびのいずれも暴露温度が35℃時に抗菌効果が高かった。わさびに7日間継続的に暴露し続けた結果,生わさびは途中で菌の発育がみられたが,チューブ入り加工わさびは菌の発育はみられず,細菌に対する増殖抑制と共に殺菌効果があることがわかった。菌数減少の推移を定量的に測定したところ,暴露開始5時間後から徐々に菌数が減少し48時間後には生菌は全く認められなかった。わさびの主な抗菌成分は揮発性のアリルイソチオシアネートといわれる。この実験からも寒天培地に触れさせず蒸気で接触させる方法で抗菌効果が強く認められたと考えられる。
著者
井之上 寿美 河野 芳美 河野 千佳 白木 恭子 塩田 睦記 雨宮 馨 中村 由紀子 杉浦 信子 小沢 愉理 北 洋輔 小沢 浩
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.356-358, 2022 (Released:2022-10-13)
参考文献数
10

神経発達症児の血清亜鉛値について健常児の参照値と比較検討した.血清亜鉛値を測定した学齢期の神経発達症児63名(男児49名,女児14名)を患者群とし,先行研究において年齢分布が一致する380名の健常児のデータを用いて解析を行った.その結果,患者群のうち19名(30%)が亜鉛欠乏症,また39名(62%)が潜在性亜鉛欠乏,亜鉛値正常は5名(8%)であり,血清亜鉛値は健常児の参照値と比較して有意に低値であった(p<0.001).患者群の診断内訳では,ADHD(36名,54%)と自閉スペクトラム症(22名,39%)の2疾患が大部分を占めたものの,血清亜鉛値は疾患間で有意な差はなく(p=0.32),性差も認められなかった(p=0.95).神経発達症児は亜鉛欠乏傾向にあると考えられ,疾患や性別による血清亜鉛値の明らかな違いはなかった.
著者
松尾 拓 中村 由紀子 鈴木 恒治
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.5, pp.888-895, 2015-05-05 (Released:2015-05-05)
参考文献数
30

症例は73歳,女性.局所進行乳癌に対してnab-パクリタキセルによる化学療法を受けていた.治療開始から約9カ月後に,肝機能障害のため化学療法は中止となった.MRCPとERCPでは肝門部胆管の狭窄と肝内胆管の口径不同を認め,nab-パクリタキセルによる二次性硬化性胆管炎が疑われた.同剤による二次性硬化性胆管炎の報告はこれまでになく,示唆に富む症例と思われ,報告する.
著者
中村 由紀子 島崎 真希子 小松 祐美子 中野 瑛子 松岡 雄一郎 宮田 世羽 岡 明
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.259-264, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
12

【目的】反社会的行動の症状を持つ発達障害の症例の特徴について検討する. 【方法】当院小児神経外来に受診した発達障害のうち, 平成21年10月から平成24年10月までに就学年齢以上であった110例を対象とした. DSM-Ⅳ-TRの素行障害の診断基準の症状が1項目以上あるものを反社会的行動群とし, その症状を持たない群と背景, 行動の特徴, 治療による症状改善の有無について比較した. 【結果】反社会的行動は38例にみられ, そのうち素行障害に該当するものは7例で全体の5.5%であった. 反社会的行動の要因は, 注意欠陥/多動性障害, 虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭であり, 統計学的に有意であった. 投薬や環境改善の指導を行ったところ, 66%の症例で, 反社会的行動について何らかの改善を認めた. 素行障害7例のうち4例が虐待により児童養護施設等に入所しており, 3例が社会性に強い困難さを抱えた広汎性発達障害で, 全例が治療的介入を行っても反社会的行動の改善はみられなかった. 【結語】発達障害児の反社会的行動には主診断が注意欠陥/多動性障害であることや虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭の要因が関与していた. 最も効果的な治療は, 保護者に対する子どもへの関わりの指導であった. 素行障害まで進行している症例は改善が極めて困難であり, 反社会的行動がみられた場合は早期介入する必要がある.
著者
中村 由紀
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.505-510, 2010-09-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
34

レプチンは脂肪細胞から分泌される飽食因子であり,主に視床下部に存在するレプチン受容体(ObR)を介して摂食抑制やエネルギー消費亢進に関与し,最終的に体重減少を誘導する肥満抑制ホルモンとして知られている。著者らはこれまでにマウスとヒトを用いた研究から,この肥満抑制ホルモン・レプチンが末梢の甘味受容細胞に作用して,甘味感受性を抑制することを明らかにしてきた。また,甘味受容体は味細胞のみならず腸管や膵臓にも発現していることも明らかになってきている。これらのことから,レプチンは,食欲中枢のみならず,末梢の味覚器(腸管・膵臓)にも作用し甘味感受性を調節することにより,体内エネルギーバランスの維持に寄与している可能性が示唆された。本稿では,レプチンによる味覚感受性の調節システムについてこれまでの著者らの研究を中心に,肥満・糖尿病との関連について考察する。
著者
谷川 英和 鶴原 稔也 東 明洋 鈴木 芳文 中村 由紀子 酒井 美里 渡辺 俊規 増満 光
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2012-EIP-56, no.11, pp.1-7, 2012-05-09

本稿では,特許調査実施工程を「検索式策定工程」と「選別工程」に大別し,これまで暗黙知であったものを知識ルールとして形式知化したことについて述べる.具体的には検索式策定工程では,「検索対象」「検索対象期間」「検索フィールド」「用語」「分類」について知識ルール化して利用した.また,選別工程において漏れている関連特許候補を提示したり,選別されているが非関連の特許候補を提示することができるようになる.
著者
永田 義毅 中村 由紀夫 木田 寛 佐野 譲
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.121-125, 2001-02-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
12

症例は平成5年より多系統萎縮症に罹患した54歳,女性.平成9年1月頃より食事性低血圧を認めるようになった.一日の血圧最高値,血圧最低値はそれぞれ232/146mmHg,72/46mmHgであった.本例において食事が自律神経に及ぼす影響をホルター心電図を用いた心拍変動解析にて検討した.副交感神経機能,交感神経機能の指標としてHF,LF/HFを用いた.健常者では食事によりLF/HFは上昇し,交感神経活動の賦活化がみられた.本例では血圧が188/119mmHgから105/40mmHgへと低下したが,LF/HF,血漿ノルアドレナリン値は不変であった.食事性低血圧の機序の一つとして,食事による腹部内臓血流増加に対する交感神経系を介した血流再分布障害の関与が推測されている.本例の心拍変動解析の結果も,それを示唆するものと思われた.
著者
小見 亘 中村 由紀夫 吉澤 尚 千代 満 能登 裕 木田 寛
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.338-341, 2001-07-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

症例は73歳の女性. 陳旧性心筋梗塞後の心室頻拍に対しアミオダロン200mg/日が投与されていた. 外来にてジゴキシン0.125mg/日を追加投与したところ, めまい, 食欲低下が出現し2週間後に再診した. 心電図所見などよりジギタリス中毒と診断され入院した. 入院時血中ジゴキシン濃度は2.56ng/mlと高値を示し, ジゴキシンの内服を中止した18日後でも0.60ng/mlであった. この間の半減期(167時間)は, 入院後のクレアチニン値, 体重, 年齢および性別から治療薬剤モニタリングシステムを用いて推測された半減期(95時間)より延長しておりジゴキシンとアミオダロンの相互作用によるものと考えられた. この値より計算した適正投与量は0.07mg/dayであった. 両薬剤を併用する場合にはジギタリス中毒の出現に細心の注意を払うべきであり, 投与量の設定には治療薬剤モニタリングシステムの活用が一助となる。