著者
木村 まり子 松田 徹 深瀬 和利 奥本 和夫 間部 克裕 鈴木 克典 青山 一郎 堺 順一 斉藤 博 佐藤 信一郎
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.145-151, 2002-02-01
被引用文献数
20

上腸間膜動脈解離6症例につき検討した.高血圧を4例に認め,危険因子として考慮された.症状の特徴として,背部に放散する高度の腹痛,背部痛,食後の症状増悪,腸雑音の減弱が挙げられた.診断にはCTや腹部超音波検査が有用であった.抗血栓凝固薬で保存的に管理し,4例が改善した.改善しない2例については厳重に経過を観察し,増悪するようなら侵襲的治療を考慮する必要がある.本疾患として加療されていることもあり,腹痛の鑑別診断上忘れてはならない疾患であると考えられた.
著者
由井 正敏 関山 房兵 根本 理 小原 徳応 田村 剛 青山 一郎 荒木田 直也
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.67-78, 2005 (Released:2007-09-28)
参考文献数
43
被引用文献数
2 5

北上高地に生息するイヌワシ個体群の繁殖成功率は,国内他地域と同様に近年急激に悪化している.本地域の長期の調査結果のうち,1979~1988年(前期)及び1995~2001年(後期)の2期間のデータを用い,繁殖成功率と巣からの半径6.4km圏内の各植生構成との関係を分析した.巣のオーバーハングの状態,巣の標高,行動圏の重複状況,気象条件,及び巣への直接的な人為が繁殖成功率に及ぼす影響も同時に分析した.全期間にわたり詳しく調査した7つがいの繁殖成功率は前期の67%から後期の27%に低下した.直接的な人為影響によって繁殖失敗した巣の割合は前期6%,後期19%程度と推定された.前期から後期にかけてイヌワシの採餌に適した幼令人工林は77%,低木草地は43%減少した.人為影響による繁殖失敗を除いたデータによる重回帰分析の結果,101年生以上の落葉広葉樹老令林,10年生以下の幼令人工林,5年生以下の広葉樹林や放牧採草地を含む低木草地の各面積が広いと繁殖成功率は高くなった.劣悪な巣の状態及び巣の標高が高い場合には繁殖成功率は低下した.造巣•繁殖期の気温,香雨量は繁殖成功率に影響しなかった.結局,最近の繁殖成功率の顕著な低下は,イヌワシの好適な採餌環境の減少で部分的に説明できると考えられる.繁殖成功率の向上のためには,条件の良い営巣地の確保,人為影響の排除に加えて採餌適地の維持造成あるいは再生が必要である