- 著者
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松田 徹
清水 恭平
原田 鉄平
原 泰裕
加藤 研太郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 巻号頁・発行日
- pp.0708, 2017 (Released:2017-04-24)
【はじめに,目的】膝関節の安定性は大腿四頭筋と半腱様筋,半膜様筋,大腿二頭筋(以下ハム)の協調的な同時収縮が必要とされている。階段降段時においても同様に大腿四頭筋とハムの協調的な筋活動が必要になると思われる。階段降段時のハムと大腿四頭筋の筋活動の報告(清水2012)があるが,各筋の爪先接地~全足底接地間の最大随意収縮(以下%MVC)の報告は筆者の調べた限りでは見当たらない。そこで今回筋電図を用いて降段時の爪先接地~全足底接地間での大腿四頭筋(大腿直筋,内側広筋)と半膜様筋(以下内ハム),大腿二頭筋(以下外ハム)の筋活動量を明らかにすることを目的とする。【方法】対象は整形外科的疾患の既往のない健常人男性7名,女性3名(平均年齢:19.2±0.8歳)とした。測定は階段シミュレーター(蹴上20cm,踏み面30cm)を使用し,手すりなしの降段を本人が降りやすい速度(以下,comfort)と48拍/分のメトロノームに合わせた降段(以下,slow)の2条件で3回ずつ筋電図を計測した。測定条件は手すり未使用の1足1段で,十分練習した後に左下肢から1歩目を降り,2歩目の右下肢で計測した。筋電図は日本光電社製NORAXSONを使用し内側ハム,外側ハム,内側広筋,大腿直筋の筋活動を検出した。各筋の筋電図の導出部位は先行文献に準じた。同時に爪先接地から全足底接地までのタイミングを確認するため動画を撮影した。タイミングの把握のためにランドマーク(膝関節内側裂隙,内果,母趾中足骨底内側,母趾内側)に印を付けた。筋電図の解析の際にはwindows media playerを使用し,爪先接地~全足底接地間(以下,接地時間)における筋放電量の和を接地時間で割り3回の平均値を算出した。なお動画はサンプリング周波数1000Hzで撮影したものをコマ送りし目視にて爪先接地,全足底接地を確認した。算出した平均値とあらかじめ測定した各筋の安定した3秒間の等尺性最大収縮で割り,各筋の%MVCを比較した。統計学的解析には,統計ソフトウェアR-2.8.1を用い,Syapiro-Wilk検定にて正規化を確認し,正規化が認められたものにはt検定,無いものにはMan-whitney検定かけ比較した。優位確率を5%未満とした。【結果】各筋のcomfort,slowともに優位差は認めなかった。Comfortでは中央値が内ハム22.87,外ハム18.34,大腿直筋23.77,内側広筋22.96。slowでは平均値が内ハム19.35,外ハム14.23,大腿直筋14.87,内側広筋13.61であった。【結論】Comfort,slowともに階段降段時の爪先接地~全足底接地間では大腿直筋と同等の筋活動が内ハム,外ハムに認められた要因として2関節筋である拮抗筋同士が相反的に活動し合っていることが予測される。先行文献(市橋2001)では高齢者の階段昇降時の同時収縮の報告があるが本研究では健常人においても階段降段時の内ハム,外ハムの筋活動量の必要性が示唆された。