著者
松中 亮治 青山 吉 柄谷 友香 佐藤 寛之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.190-202, 2007

本研究では,事業の社会的便益,ならびに,その長期的最大化,関連主体間の合意形成の得やすさなどの観点から,バリアフリー施設の整備優先順位を評価するための複数の評価基準を設定し,それぞれの基準に従う整備優先順位を探索した.その際,経年的な優先順序の比較においては極めて多数の組み合わせが考えられるため,遺伝アルゴリズムを用いて,各基準に従う整備優先順位を探索した.対象地域として京都市をとりあげ,交通バリアフリー法の法制度や自治体・公共交通事業者の予算制約を考慮し,多数の重点整備地区において複数の事業者が関連している状況下における整備優先順序について分析した.さらに,各評価基準に基づく整備優先順位を,実際に京都市が策定しているバリアフリー全体構想に基づく優先順位とも比較し,その特徴を明確化した.
著者
青山 吉隆 松中 亮治 鈴木 彰一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.47-55, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

本研究では、歴史的文化財の有する総価値の計測を行う上で、CVMと選好顕示法を組み合わせて用いることにより、その信頼性の向上を測ることが可能であると考え、顕示選好による計測結果を利用できるような形で、CVMを実施した。すなわち、CVMにより歴史的文化財の総価値利用価値比を推計し、旅行費用法による計測結果と組み合わせることにより歴史的文化財の総価値を計測した。
著者
近藤 光男 青山 吉隆 廣瀬 義伸 山ロ 行一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.777-784, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17

本研究では、道路、鉄道、航空からなる高速交通体系における1960年以降の整備変化について、旅行時間と費用に着目して分析を行い、どのようなサービス水準の向上があったのかを交通機関の利用者の時間価値に基づいて明らかにするとともに費用差時間差比指標を用いて評価を行った。その結果、道路と鉄道の比較では、この指標は激しく変動し互いに影響を及ぼしやすいことがわかった。鉄道と航空を比較した場合には、費用差時間差比が全体的に低下しており、航空が有利になる傾向がみられた。一方、都市部と地方部を比較してみると、同じ交通機関でも地域によって利用者の選好比率に大きな差があり、高速交通サービスにおける地域間格差の存在が浮き彫りにされた。
著者
青山 吉信
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.1371-1415,1490, 1976-10-20 (Released:2017-10-05)

It is generally known that, when Anglo-Saxon royal charters granted immunities to certain ecclesiastical or lay magnates, they usually reserved three obligations in the royal hands. These are service in the army (fyrd, expeditio), the maintenance of fortresses (burh-bot, arcis constructio) and the repair of bridges (bricg-bot, pontis emendatio). Though it Was not likely to be a generally accepted term in Saxon England, they have been collectively called 'trinoda (or trimoda) necessitas' by modern scholars. In 1914, in his classic thesis, W.H.Stevenson insisted that it was in the late eighth century that the reservation clauses first appeared in the genuine royal charters, but actually these three burdens had been imposed from remote past in spite of the silence of earlier charters. His view has been accepted for ages by most historians, but some scholars have recently begun to criticize him. E.John argues that burh-bot and bricg-bot had not been imposed on the ecclesiastical estates until the middle of eighth century, and fyrd not until late eighth century. N.Brooks offers that the date and the process of the imposition of these burdens may have varied in the different Heptarchic kingdoms. All these obligations are military in their essential character, so it should be emphasized that the successful enforcement of them was deeply connected with the development of royal authority in Anglo-Saxon England. In this paper I intend to examine the above-mentioned theories and then investigate the process of the imposition of burh-bot by Wessex kings in Saxon England after the middle of ninth century.
著者
山中 英生 青山 吉隆 多田 恭章 永峰 崇二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.524, pp.37-48, 1995-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
20

本研究は, 郊外幹線街路沿道の独立広告物のうち, 特に田園地域に掲出される野立広告物に対する規制に関して, 受認限度の視点から規制水準を分析することを目的としている. 具体的には, 各県の条例における規制方法を概観する一方で, 徳島市周辺の独立広告物掲出実態を把握して現状の規制方法の問題点を把握している. また, CGアニメーションを用いた実験によって, 視野内の広告物総量規制という観点から, 野立広告物の掲出量に対する心理的受認限度の分析を行い, その結果, 広告面積と広告物高さや設置間隔等, 屋外広告物条例における形態規制からみた受認限度のレベルを明らかにしている.
著者
大庭 哲治 柄谷 友香 中川 大 青山 吉隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.227-238, 2006-07-20
参考文献数
48
被引用文献数
6

本研究は,京都市都心部の京町家集積による近隣外部効果やその影響範囲の把握を目的に,通常回帰モデルと地理的加重回帰モデルを併用して,ヘドニック法により定量的に計測した.また,得られた計測結果については,GISを利用して空間的な広がりや分布の特徴を把握した.その結果,京町家集積による近隣外部効果の存在が土地の資産価値を高める傾向にあり,近隣外部効果の特に高い町丁目は,東西や南北にはしる通りに沿って連担,あるいは面を形成しているという空間的特徴を明らかにした.また,近隣外部効果の影響範囲は,京町家が隣接する町丁目やその町丁目にさらに隣接する町丁目程度であるのに対し,中高層建築物は学区レベルに相当し,京町家よりも影響範囲が広域であることを明らかにした.
著者
青山 吉隆 森杉 寿芳
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.41-61, 1971-11-25 (Released:2008-10-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

For the purpose to simulate the changing process of land use pattern in urbanization, it is necessary to quantify the preference functions of various land users, such as commerce, industry and household.In this paper we have proposed a new method for the estimation of the preference functions by means of statistic discriminant function, which are composed of the accessibility to some urban activities, amenity level and other social and natural environment.First of all, we assumed that the behavior of each land user is making his utility maximum within the limit of the budget for land. Then on this assumption we defined the fact that land user located a certain land means that he prefers it to other lands where he did not locate, and have estimated the preference functions of commerce, industry and household respectively, using data on the land use map of Osaka Prefecture, 1965.The result of the estimation shows as follows: First, each estimated preference function adequately justifies our assumption. Second, the preference function of commerce is similar to that of household, but not to that of industry. Third, the preference function of commerce is strongly effected both by accessibility to the C. B. D. and neighboring land use; that of industry by the industrial water supply and that of household by accessibility, construction cost and public utility level.
著者
近藤 光男 青山 吉隆 高田 礼栄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.171-178, 1995
被引用文献数
1

本研究では、地方圏内における人口の社会移動を対象とし、農山村対都市部の構図の中で人口移動は地域の効用格差によって生じるとの仮定によってモデルを作成し、それを用いて移動のメカニズムを解明した。モデル分析では、わが国の地方圏の1つである徳島県を対象とし、県内の50市町村を分析単位とした。その結果、1人当たり所得、生活環境施設の利用機会、故郷や都市までの時間、地価が人口移動の影響要因になっていることが明らかになった。また、地域内の道路整備による時間短縮は都市部に比べ、農山村の効用をより高めることがわかった。しかしながら、農山村と都市部の間には大きな効用の差が依然として存在しており、農山村からの人口流出問題の解決は短期的には厳しい状況にあると思われる。
著者
青山 吉隆 中川 大 松中 亮治 柄谷 友香 田中 啓一
出版者
広島工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年においては従来の大量消費型ライフスタイルから,都市における生活の質「都市アメニティ」を重視したライフスタイルへの転換期を迎えている。この「都市アメニティ」は,人々の生活の豊かさと環境保全の共生を図っていくうえで重要な概念となっている。そこで,本研究では,都市アメニティの維持・拡大と環境が共生した都市社会システムを構築するための施策体系を明らかにする。具体的には,まず「都市アメニティ」の概念を体系化・計量化する。また,都市アメニティの利害関係者の構成を明らかにすると共に,受益と負担に対する施策の提示と目標に向けた実現可能性についての合意形成を目指した。本研究の成果をまとめると以下の通りである。1.都市アメニティを,「ある空間に存在する多種多様な都市の要素の量・質・配置に対して、ある都市活動を行うに際して大多数の人々が主観的に感じる共通の価値」と定義し,空間アメニティ・アメニティ機能・アメニティ要素といった階層構造として提示した。2.京都市北部における学校・緑地・神社仏閣・墓地の4つのアメニティ要素を対象に,その影響範囲を明らかにした。さらに,京都市都心部において,面的集積を保持した京町家の近隣外部効果は土地資産価値を高める傾向があること,京町家の影響範囲よりも中高層建築物のほうがより広範囲な学区レベルに及んだこと,中高層建築物の集積が土地資産価値を低める傾向にあること,以上3点を明らかにした。3.京町家まちなみ保全の活動に対して,周囲の協力の割合が高いほど,個別地域住民の協力選択確率が高まること,調査対象とした元学区19のうち,16の地域では潜在的な保全可能性を担保していること,これを担保していない3つの元学区に対しては,社会的相互作用の視点から,保全可能性を確保するための方策案を各元学区の特性に応じて提示した。