- 著者
-
青山 聡
- 出版者
- 日本教科教育学会
- 雑誌
- 日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.2, pp.43-53, 2019 (Released:2021-02-03)
- 参考文献数
- 24
本論の目的は,複数回与える筆記による訂正フィードバックが,同じ英作文の書き直しにおける自己訂正率と別の新しい英作文における正確さにどのような影響を与えるのかを仮定法と直説法に焦点を当て調査することである。高校2年生110名を英語熟達度に応じて2群に分け,それぞれの群で直接的訂正フィードバック(DCF)群,メタ言語的訂正フィードバック(MCF)群,統制群を設定し,相対的効果を検証した。その結果,熟達度高位群では,DCF とMCF 共に書き直しへの効果が確認されたが,新しい英作文には確認されなかった。一方,熟達度低位群では,DCF は書き直しに対してすぐに効果を及ぼしたが,新しい英作文における正確さの向上はもたらさなかった。しかしMCF は,与えるごとに書き直しにおける自己訂正率を向上させ,3度目にはDCF と同程度の自己訂正率を獲得した。さらに新しい英作文では,2度目を与えた後の事後テストにおいて,DCF と比較し,正確さの向上を導いた。