著者
影山 玲子 中澤 慎介 青島 正浩 藤山 俊晴 伊藤 泰介 戸倉 新樹 本田 哲也
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.707-711, 2021-04-20 (Released:2021-04-21)
参考文献数
9

特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断には,ミノール法を代表とするヨードデンプン反応を利用した温熱発汗試験が一般的である.通常,同試験では全身皮膚への試薬塗布が行われるが,全身への試薬塗布は患者・医療者双方にとって肉体的・時間的負担が大きい.当科ではそれらの問題を解決するため,同試験を12カ所のスポットで施行している(スポット法).スポット法により診断されたAIGA 30例の解析から,AIGAでの無汗・低汗部位として上腕・前腕・大腿・下腿の四肢で最も頻度が高いことが示唆された.
著者
神﨑 美玲 禾 紀子 青島 正浩 戸倉 新樹
出版者
金原出版
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1800-1804, 2018-10-01

38歳,男性,ゴルフ指導員。初診前年の秋より,食事や運動時に,背部にチクチクとした痛みがあった。初夏には発汗低下,うつ熱のため屋外での仕事に支障をきたし,8月には熱中症に至った。コリン性蕁麻疹の合併はなく,温熱発汗試験で広範囲な無汗,発汗低下がみられた。薬物性発汗試験は陰性であった。病理組織学的に汗腺組織の形態学的異常はなく,炎症細胞はわずかであった。無汗部の汗腺上皮では,アセチルコリン受容体の発現が低下していた。無汗をきたす基礎疾患や自律神経異常はなく,特発性後天性全身性無汗症と診断した。ステロイドパルス療法が奏効し,3クールで発汗が回復した。本症はまれな疾患であるが,早期に診断・治療すべきである。
著者
栗山 幸子 青島 正浩 戸倉 新樹
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.7, pp.1263-1271, 2016-06-20 (Released:2016-06-18)
参考文献数
15

発汗低下を主訴に最近当科を受診し,特発性後天性全身性無汗症または減汗性コリン性蕁麻疹と診断した7例について,温熱発汗テスト,アセチルコリン皮内反応テスト,組織学的検討を行い,ステロイドパルス療法を行った.全例男性で体表面積の63%以上が減汗であり,6例が点状膨疹を伴っていた.無汗部位は下腿に,低汗部位は上肢・体幹に主に認められた.治療後,全例で発汗回復部位が現れ,同低汗部位に一致して点状膨疹が出現した.減汗性コリン性蕁麻疹は無汗部位ではなく低汗部位に生じ易いことを裏づけた.