- 著者
-
青木 雅子
- 出版者
- 公益社団法人 日本看護科学学会
- 雑誌
- 日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.3, pp.3_43-3_51, 2009-09-16 (Released:2011-08-30)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
4
2
先天性心疾患患者の小児期におけるボディイメージの形成過程を明らかにすることを目的に,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.先天性心疾患をもつ21名の成人患者に,小児期における身体に対する思いを回想してもらった.ボディイメージの形成過程は,もの心ついた時に認識した身体に対するあたりまえさを自分なりのあたりまえさに再構築していく『あたりまえさの創造』であった.【もの心ついたときのあたりまえさ】を基盤にし,友だち社会に進出して認識した身体心理社会的な【不都合さの実感】を,【同化への試み】【ジレンマとの駆け引き】【体内の調整力の発揮】をしながら,【自分らしいあたりまえさの再構築】へと変化修正させていた.体内感覚を頼りにしたボディイメージは,社会的営みを通して自己イメージへと創造されており,身体の適切な理解,他者からの了解,安心,コントロール感の獲得,他者との共軛,理想像との一体感,適応の実感を高めることが安定した自己構築につながると考えられた.