著者
須藤 元喜 上野 加奈子 大野 洋美 植田 章之 豊島 晴子 矢田 幸博
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.33-38, 2010-05-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Many infants wear paper diapers during the gait-forming period. We measured electromyography during walking in 10 infants under 3 conditions, and analyzed the motion: naked, wearing a paper diaper, and wearing a paper diaper containing physiological saline. The gait test was repeated in the same infants after 4 months to investigate changes in the influence of paper diapers. In the first test, the muscle burden was not significantly increased by wearing a paper diaper alone, but that on the biceps femoris was significantly increased by a paper diaper containing saline. In the second test 4 months later, the burden on the biceps femoris due to a paper diaper and that containing saline were significantly decreased. Motion analysis detected the minimum distance between the bilateral knees was significantly broadened when wearing a diaper containing saline in the second test.
著者
大野 洋美 須藤 元喜 小山 貴夫 矢田 幸博 土屋 秀一
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.627-633, 2008-11-25
被引用文献数
1

<b>目的</b>:高齢者の静的および動的姿勢制御の特性を明らかにするために,高齢者と若年者の安静立位時·動作時·動作後静止立位時の重心動揺を測定し比較検討を行った.今回は動的平衡能力を測定する際の動作として,排泄時の衣服の着脱動作に着目し,パンツ型オムツはき上げ動作時の重心動揺の比較を行った.その際はきやすさを調節したオムツを使用し,動作負荷を変化させたときの姿勢制御特性の調査を行った.<b>方法</b>:評価サンプルには,はきやすさを調整するために,お腹周り全体の収縮率を低応力から高応力まで5段階に操作したパンツ型オムツを用意した.被験者には最初に,開眼および閉眼立位状態で重心動揺の測定を行い,その後,重心動揺プレート上でオムツおよび下着を装着し,動作時および動作後静止立位時の重心動揺を測定した.さらにその後,はきやすさに関する主観的評価を行った.<b>結果</b>:安静立位時の重心動揺は,開眼時·閉眼時ともに高齢者群の方が若年者群よりも大きくなる傾向が見られたが有意差は認められなかった.また,はき上げ動作時では,はきやすいオムツを履くときの重心動揺の大きさは両群で同等であるが,はきにくいオムツを履いた時に,高齢者群で揺れが顕著に増大した.さらに動作後の静止立位時においても,高齢者群でのみ,はきにくいオムツを履いた後に重心動揺の増大が継続するという現象がみられた.<b>結論</b>:静的姿勢制御能力が低下していない健常な高齢者においても,動作時には動作の負荷に相関して重心動揺が増加する,つまり動的姿勢制御が低下することが明らかになった.さらに高齢者では動的姿勢制御相がその後の静的姿勢制御能力にも影響を及ぼし,機能を低下させる可能性が示唆された.転倒防止の観点から,介護者は明らかな身体能力低下がみられない高齢者に対しても,動作時および動作後の動向に注意を向けることが必要だと考えられた.<br>
著者
須藤 元喜 千葉 亜弥 上野 加奈子 矢田 幸博 赤滝 久美 三田 勝己
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.175-182, 2010
被引用文献数
3 1

下肢の細胞外液貯留における不快感は女性の代表的な愁訴の1つであり,むくみと呼ばれている.むくみは筋ポンプ運動による改善が勧められていることから,筋疲労との関連が考えられるが,その詳細については明らかになっていない.そこで,下肢におけるむくみと疲労の関連性を明らかにするために,化粧品販売職の女性182名にアンケート調査を行い,153名から有効回答を得た.その結果,下肢の疲れを94%,むくみを90%の回答者が感じており,疲れとむくみの意識は重なる部分が多く,下肢組織外液貯留の心理的評価には疲労の項目が必要であると考えられた.また,疲れ,むくみ感覚が最も多かった部位はふくらはぎであり,疲れで78%,むくみで85%の回答者が感じていた.また,むくみの不快感の原因を67%が大きさ,疲労の不快感の原因は66%が痛みという言葉でそれぞれ特徴的に表現していた.これらの結果をもとに心理的な疲れとむくみを評価するVAS主観評価調査表20項目を作成した.作成したVAS(visual analogue scale)主観評価調査表を用いて立ち仕事およびデスクワークの勤労女性19名を評価した.測定は就労前の午前9時から10時までの朝方と,就労後の午後4時から5時までの夕方に実施し,就労前後および立位と座位の勤労姿勢を比較した.全被験者19名の就労前後のVAS主観評価の結果は,20項目中16項目で不快感が有意に増加した.就労姿勢別の解析では,デスクワーク群9名に比して立ち仕事群10名の就労前後の不快感上昇が,足首周囲長,ふくらはぎ周囲長,下肢の重さ,ふくらはぎの痛み,足首の痛み,土踏まずの痛みの7項目で有意に増加していた.アンケート調査を手がかりに作成したVAS主観評価調査表は組織外液貯留の下肢不快感を実際の労働条件において評価することができた.