著者
佐藤 忠彦 領家 美奈
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-31, 2022-09-13 (Released:2022-09-14)
参考文献数
32

本研究は,同一説明変数に対する複数の異質な回帰係数を同時に推定可能にする階層ベイズ回帰モデルを提案し,その有効性を検証することを目的とする.提案モデルの有効性は,数値実験と実データを用いた解析で検証した.数値実験では,真のモデルを精度高く再現できるという意味で,提案モデルの有効性を確認した.また,POSデータを用いた実証分析では,提案した枠組みで市場反応を製品異質性と時点異質性に分解可能であることを示した.提案した枠組みは,反応係数の明示的な要因分解を実現し様々な社会科学現象のモデル化およびそのモデルに基づく意思決定で有効活用できる.
著者
江口 彰 領家 美奈
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.89-104, 2021-09-15 (Released:2021-09-29)
参考文献数
32

許可のない情報の持ち出しを原因とするインシデント事例が多く報告されている.本研究の目的は,不正のトライアングル理論を用いて,ISO/IEC 27001の要求事項のうち,「認識」の向上により,逸脱行動の正当化が抑制できることを実証することである.筆者らは,方針,自らの貢献,逸脱行動による影響の3つの認識に関する潜在変数が,いずれも逸脱行動の正当化を抑制する効果があるものと仮定した.そのうえで仮説の設定および仮説検証モデルを構築し,質問紙調査により収集したデータに対して共分散構造分析ならびにISO/IEC 27001の認証取得組織と未取得組織の構成員集団による多母集団分析をおこなった.その結果,仮説が部分的に検証でき,また認証取得の有無により向上させるべき認識が集団ごとに異なることが明らかになった.
著者
岩本 直子 領家 美奈 中森 義輝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.279-286, 1997
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

東京都の環境に関係する物理的・客観的データから住民による環境の主観的評価を予測するモデルを構築する。モデルは2つの階層からなり, 第1層は, 物理的・客観的データから住民の環境に対する衛生, 快適などの個別主観評価値を予測する線形回帰モデルである。第2層は, 予測した個別評価値を統合するショケ積分モデルである。ただし, 線形回帰モデルでは個別評価値のモードを予測する。また, 主観評価データの地域性を考慮して, 数本のショケ積分モデルを構築し, それらをif-then型ファジィモデルとして統合する。各ショケ積分モデルを構築するための部分データセットは, 物理的・客観的データに基づく地域のクラスタリングにより決定する。ファジィ測度の同定は凸2次計画法による。また, ファジィモデルの前件部を多次元メンバシップ関数を用いて表現し, メンバシップ関数のチューニングにより予測モデルの精度を高める。一方, 得られたファジィ測度により地域の個性を分析し, 同定されたファジィ測度の妥当性を検討する。すなわち, 本研究のねらいは, 総合評価の予測精度を高めるとともに, 納得できるモデル構造・ファジィ測度を得ることである。
著者
領家 美奈 中森 義輝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.136-146, 1996-02-15
被引用文献数
17

分類と回帰を同時に分析するファジィクラスタリングについて考察する。与えられたデータ集合から高木・菅野のファジィモデルを同定する際, 前件部同定のためのデータのファジィ分割と後件部同定のための回帰分析を調和的に実行する問題である。Hathaway and BezdekのFuzzy c-Regression Modelsは, 与えられたデータ集合に対していくつかの回帰モデルをあてはめ, クラスタリングと回帰係数の同定を同時に行うアプローチである。本稿では, そのアプローチをファジィモデリングに利用するために, 規範の改良と適応型アルゴリズムを提案する。また, 数値実験により提案した手法の有効性を示すとともに, 世界の人口問題に関連するファジィモデルの構築という実際問題へ応用する。
著者
領家 美奈 中森 義輝 ヒュン ナム ヤン
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

嗜好性が高い製品については,その製品がもつスペック等に代表される機能の側面だけでなく,その製品が人に与える‘感性’も合わせて,製品評価に用いられる.さらに,その製品を購入する際の文脈も重要な製品評価の側面,すなわち,製品購入にいたる顧客の要望と考えられる.本研究ではそれらのあいまいで多様な顧客要望をファジィ情報として扱い,統合し,顧客の製品選択の意思決定を支援するとともに製品デザインに役立てようというものである.全体を均一に重要とするオペレータの開発,および,どの評価の側面をより重要視するのかに対する指針を得るためのモデルを構築した.