著者
中村 肇
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.99-106, 2017-04-15 (Released:2017-04-15)
参考文献数
13

プラントの安全を考えるうえで,ベテラン技能者の持つ熟練技能の次世代への伝承は重要な問題である.製造業における技能伝承の問題は,団塊の世代の大量退職に伴う「2007 年問題」として注目を集めたが,ここ数年再び関心が高まっている.本稿では,まず製造業における技能伝承の2007 年以降の状況と現時点での問題状況を概観したあと,企業が技能伝承を戦略的に進めていくための方法論である「技能伝承戦略のフロー」を紹介する.そのうえで,安全の観点から捉えた技能伝承の問題について「プラントを安定安全に運転するための技能の伝承」「非定常作業及び異常時・緊急時に対応するための技能の伝承」「プラントに働く技能者の安全のための技能伝承」に分けて議論し,最後に将来に向けてAI 活用時代の技能伝承について展望する.
著者
中村 肇
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.4_15-4_21, 2010-04-01 (Released:2010-10-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
中村 肇
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-30, 2019-06-30 (Released:2019-07-10)
参考文献数
22

メディアが透明な媒介としてわれわれの生活世界を侵食する際に立ち現れる身体性の剥奪という問題は如何にして記述できるのだろうか。本論考は,その些か巨大すぎる問いに,ネオ・サイバネティクスと総称される思想的潮流の一端を担う「基礎情報学」の観点から,社会美学における「共通美」の概念を手がかりに考察する。より具体的には,昨今のSNS文化における加工写真=〈新しいテクノ画像〉が,被写体の身体性が剥奪されているにもかからず広く受容されている状況に対して,基礎情報学の心的システムの議論やヴィレム・フルッサーのメディア理論,さらにはマイケル・ポラニーの暗黙知などの諸概念に依拠しつつ,理論的な検討を加える。主観的な知から出発したわれわれの心的システムが,二人称的な対話を通じて共振しながらコミュニケーションの発展過程として描出されていく一方で,それが社会システムへと転化し,安定状態へと達した結果,逆に個人の美的価値から身体性=視覚ディスプレイ上から立ちのぼるある種の生々しさを剥奪させていく様態を,階層的自律コミュニケーション・システムHACS(Hierarchical Autonomous Communication System)モデルから捉え直す。

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著者
中村 肇
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.387-392, 1999-06-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
著者
島崎 拓則 原 晋介 奥畑 宏之 中村 肇 河端 隆志
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.225-235, 2016-10-10 (Released:2017-01-14)
参考文献数
23
被引用文献数
2

Monitoring heart rate (HR) during exercise can be used not only for early detection of a change in physical condition but also as an indication of the exercise training condition. Photoplethysmography (PPG) is a simple and non-invasive method for HR sensing, but its use during exercise is difficult, since the PPG output is contaminated with motion artifact (MA). Especially for vigorous exercise, MA has the same frequency component as that of blood volume pulses (BVPs) in the PPG output, and no linear MA cancellation technique such as band pass filtering (BPF) can work effectively. This paper proposes a PPG-based MA canceling HR sensor. It is equipped with two sensors ; one is a normal PPG sensor with a light emitting diode (LED)/photo detector (PD) that contacts the skin to detect BVPs andMA, andthe other is an MA sensor with a LED/PD that does not contact the skin to detect only MA. Applying the outputs from the two sensors to an adaptive filter, the BVPs can be obtained easily. We evaluated the performance of the proposed HR sensor in ten subjects who performeda series of resting, walking, running andjumping. The results revealedthat the proposedHR sensor, together with an outlier rejection method, achieved root mean square errors (RMSEs) of 7.1 bpm, 6.4 bpm and6.1 bpm for walking, running andjumping, respectively, when using a Holter monitor as the reference. These results imply a reduction of RMSE by a maximum of 83% compared to no MA cancellation.
著者
渡辺 はま 川口 潤 中井 雄介 塚田 哲也 彦野 賢 中村 肇
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.237-243, 2005-08-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
14
被引用文献数
6 4

本研究では, プラントにおける作業を模擬した二つの実験を通して, 行為意図の遂行における事前動作の効果を検討した. 各実験にはそれぞれ40名, 20名の学部学生が参加した. 両方の実験で, 被験者は指示 (例えば“112A 開”) を与えられ, それらを覚えるよう教示された. 干渉課題に続いて, 被験者はキーボードキーを押すことで指示を遂行することが求められた. 六つの指差呼称条件 (統制条件・動作付き指差呼称条件・動作付き指差条件・呼称条件・指差呼称条件・位置確認条件) を比較した結果, 動作付き指差呼称もしくは指差呼称を伴って指示書を確認した被験者において, 優れた遂行成績が示された. これらの結果は, 作業前に作業遂行時と同様の動作を行うことが, 通常の指差呼称と同程度に, 意図した行為の優れた遂行を導くことを示唆している.
著者
中村 肇 垣鍔 直 沖 允人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.535, pp.1-7, 2000-09-30 (Released:2017-02-03)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

We conducted psychological evaluation experiments on preference for the color temperature by using a laboratory whose air temperature was regulated at a constant value. The experiments demonstrated that the air temperature to which the subjects were exposed was low, as in winter, a low color temperature was preferred. On the other hand, the air temperature was high, as in summer, a high color temperature was preferred. Accordingly, it is strongly expected that the color temperature preference for general lighting varies depending on the air temperature in the room.
著者
眞野 友裕 宮木 杏菜 伊川 正人 中村 肇伸
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.111, pp.AW1-6-AW1-6, 2018

<p>【目的】精子と卵子は,受精後にリプログラミングを経て胚体外組織を含む全ての細胞に分化できる「全能性」と呼ばれる能力を再獲得する。本研究では,全能性獲得の分子基盤を明らかにするために,全能性細胞で特異的に発現する遺伝子の探索を行い,Zbed3(Zinc-finger BED Domain-containing 3)を同定した。本報告では,Zbed3の生体内での機能を明らかにすることを目的として研究を行った。【方法】着床前胚におけるZbed3のmRNAおよびタンパク質の発現はそれぞれqRT-PCRと蛍光免疫染色を用いて検討した。また,Zbed3ノックアウトマウスは,CRISPR/Cas9システムを用いて作製した。【結果】Zbed3の着床前胚における発現を検討した結果,Zbed3は受精卵から4細胞期胚の間で特異的に発現し,卵細胞膜皮質下に限局していた。Zbed3は,培養細胞を用いた研究から,Wnt/β-cateninシグナルを正に制御することが報告されているが,少なくとも初期胚では,Wnt/β-cateninシグナルの制御には関与しないことが示された。一方,Zbed3の特徴的な細胞内局在は,SCMC(subcortical maternal complex)と呼ばれる複合体の構成成分の局在と酷似していた。また,免疫沈降によりZbed3はSCMCの構成成分であるMater相互作用することが示唆された。これらのことから,Zbed3はSCMCの構成成分である可能性が考えられた。次に,生体内での機能を調べるために,Zbed3のノックアウトマウスを作製した。その結果,メスのZbed3ノックアウトマウスから得られた受精卵では胚盤胞期への発生率が著しく低下すること,また多くの受精卵から不均等な割球を持つ2細胞期が得られることが明らかとなった。以上から,Zbed3は初期発生に必須の母性効果遺伝子であり,均等な割球を持つ2細胞期胚への分裂に重要な役割を果たすことが示唆された。</p>
著者
中村 肇
出版者
成城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は、自律的規範と他律的規範の関係につき、まず、合同行為に相当する団体法に関連して、組合員の組合からの脱退を制限する合意の効力が問題となった事案について、判例評釈を行った。かかる判断は、組合の団結権の保障よりも個々の組合員の団体選択の自由を保障することを優先するものであり、本研究テーマにとって興味深い。契約関係に関するものとしては、第71回日本私法学会において、「事情変更の顧慮とその妥当性」という表題で個別報告を行った。従来から行ってきた事情変更の原則論の淵源理論たるclausula rebus sic stantibus理論の展開につき、18世紀の法典編纂の時代の立法内容、それに関する学説・実務の展開を中心にして検討した。さらに、現在のドイツ法との比較を行うことで、古典的なclausula理論の中での議論が現在の議論と同様の問題意識を持っていたこと、そこでの議論が現在の視座にとっても有益であることをあきらかにすることを試みた。ほかに、山田卓生先生の古稀記念論文集に提出した論説において、ドイツの2002年債務法改正に際して立法化が見送られた「一時的不能」の問題について検討を加えた。一時的不能という給付障害法は、わが国でも従来議論されておらず、自律的決定の限界問題の一つとして、位置づけることが可能である。ドイツ法は、改正の際に当初は一時的不能の明文化を試みていたところ、議論の末、従来通り学説、判例に取扱いをゆだねることになっている。わが国での債務法改正の議論においても、同様の問題が起こる可能性があり、ドイツでの議論は参照に値しよう。その他に、自賠法に関して、自賠法に規定された支払基準の損害算定に際しての拘束力が問題となった事案について判例評釈を行ったこと、利息制限法違反の過払い利息の返還に関連する判例評釈を行ったことを付け加える。いずれも特別法に関連する事案であるが、特別法上の規定の解釈が問題となった場面であって、本研究テーマと関係するものである。
著者
中村 肇
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.793-795, 2001-09-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
6
被引用文献数
4 4
著者
中村 肇 上谷 良行 西山 馨 松尾 雅文 白川 卓 竹島 泰弘
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

グルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症は新生児黄疸の重要な原因と考えられている。しかし我が国ではその頻度は少なく、G6PD欠損症と新生児黄疸、特に核黄疸発生との分子レベルでの検討はなされていない。本研究は、G6PD欠損症が多発しているフィリピンで新生児黄疸特に核黄疸とG6PD欠損症との関連をその遺伝子の異常を基盤にして明らかにするものである。そのため、フィリピン総合病院をはじめ、メトロマニラ地区にある病院で出生した新生児を対象としてG6PD欠損症の新生児マススクリーニングを実施した。これまでに、約3万人の新生児を対象として実施し、人口の約3%がG6PD欠損症であることが判明してきた。新生児スクリーニングにより多くのG6PD欠損症が発見されたが、発見された症例の中に少なからず女児例が混在していた。本来G6PD欠損症は伴性劣性遺伝をとり、女性はたとえ遺伝子の異常をもったとしてもキャリアーとなり、男性のみに発生するものである。今回、女児でG6PD欠損症と診断した症例は、本来キャリアーで無症状であるはずのものがX染色体の不活化に偏りがあり、正常の遺伝子をもつX染色体が強く不活化され異常な遺伝子をもつX染色体が強く活性化されているものと考えられた。そこで、G6PD欠損症と診断された女児を対象に遺伝子からのmRNAの解析を行い、正常と異常のどちらの遺伝子から転写されたものが多いかを調べ、女性G6PD欠損症の不活化の偏りについて検討した。その結果、予想通りX染色体の不活化の偏りがあり、こうした女児G6PD欠損症では正常の遺伝子を持つX染色体が強く不活化されていることが判明した。
著者
垣鍔 直 中村 肇 稲垣 卓造 堀越 哲美
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.528, pp.67-73, 2000-02-28 (Released:2017-02-03)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

Kruithof demonstrated the preferred combination of illuminance levels and color temperatures. However, as Kuller pointed out, a seasonal change and gender difference in such preference may be expected. In order mainly to observe a seasonal change in preference of color temperatures for a given illumination level, four male and female subjects were exposed to four different conditions of color temperatures of 3,000K and 7,500K combined with room temperatures of 22℃ and 30℃ at l, 5001x in summer and winter. In addition, preference of color temperature was tested under the thermally neutral condition in spring and autumn. Physiological variables such as skin temperatures, heart rate, finger blood flow, blood pressure and oral temperature were measured. Themal sensation vote, themal comfort vote, and sensation votes on illuminance and relaxation were reported at 5-min. intervals. As a result, evaluation from psychological and physiological responses indicated that 7,500K was more preferred than 3,000K at 1500lx in spring and summer.
著者
久野 克也 顔 邦男 沢村 敏郎 築部 卓郎 岡田 昌義 横山 直樹 野間 大路 上谷 良行 中村 肇
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.692-695, 1992-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1

出生前診断の進歩により臨床応用されるようになった胎児手術のバックアップシステムとして, 胎児水中保育の実験を行った。ザーネン種ヤギ胎仔(平均在胎126日)の臍帯動静脈に挿管し, A-Vシャントとした。0.5m2シリコン膜型肺を組み込んだ小児用ECMOポンプで灌流を行い, 胎仔は人工羊水中で管理した。胎仔7頭に4~109時間の灌流を行い, 血行動態及び血液ガスについて検討を加えた。カラードップラー法により循環動態を観察したところ, 動脈管・卵円孔ともに灌流中の開存が確認された。また, ECMO流量と胎仔血行動態の関係では, 流量100ml/kg/分で胎仔酸塩基平衡が安定するとされる14ml/kg/分の酸素供給量を確保することができた。酸素消費量もECMO流量増加に伴って増え, 流量100ml/kg/分をこえるとほぼ安定した。胎仔に対するA-V ECMOにおいても, 新生児V-A ECMOに匹敵する100ml/kg/分の流量が必要と考えられた。