著者
飯山 敏道
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.309-311, 1987

日本学術会議地質学研究連絡委員会は, 1982年いらい国際地質学会議 (IGC) を1992年に日本で開催することについて, その学問的・社会的意義とその可能性などを検討する小委員会を設け, 審議をかさねました。その結果, IGCはその開催方式や内容をいままでのIGCの慣例に固執することなく, 日本独自の方式を開拓し, 準備を周到におこなえば, 技術的にも可能であり, 意義深いものにすることができるとの結論に達しました。そこで, 1984年モスクワのIGCにおいて, 日て本誘致を提案いたしました。このとき, 中華人民共和国も誘致を提案したため, 1985年2月に, IUGS・IGC共催のSteering Committeeは, 1992年日本開催に同意し, 1996年中国での開催を勧告いたしたした。正式には1989年のワシントンのIGCで決まることですが, 1985年4月IGC検討小委員会は発展的に解散し, 地質学関連の大学・官庁・企業から派遣された委員によって, 日本学術会議からは独立したIGC準備委員会が発足いたしたした。この委員会は1989年ワシントンで開催される第28回IGCにおいて, 日本開催が正式に決定され, IGC組織委員会が発足するまで機能し, 準備を整える役割をもっています。正式承認まえの準備会であるため, 公的な機能をもつことができませんが, 準備委員会内に設けられた総務・プログラム・巡検・会場・経理・出版の各小委員会が準備を進めておりますので, ここに, 活動状況を報告します。正式承認後開催まで3年の歳月しかありません。準備委員会は可能なかぎり準備を整えて1989年に発足するはずの組織委員会に引き継ぎたいと考えています。準備委員会の活動に御意見をお寄せくださるなど, 各位の絶大なる御協力をお願いいたします。
著者
飯山 敏道
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部弘報
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.29-31, 1987-03
著者
飯山 敏道
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.29-31, 1987-03
著者
飯山 敏道
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.29-31, 1987-03
著者
小林 和男 飯山 敏道 藤本 博巳 酒井 均 平 朝彦 瀬川 爾朗 古田 俊夫
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

本補助金による2年度にわたる集中的な研究によって西南日本沖(南海トラフ陸側斜面)の海底湧水帯の位置が精密に同定され、その実態がはじめて詳しく解明された。シロウリ貝群集が湧水帯上に集中して生息することは1985年のKAIKO計画においてすでに推定され、世界の他海域(バルバドスやオレゴン沖)でも証拠が挙がっていたが、今回現場での海底下鉛直温度勾配測定によって1年数mに及ぶ湧出水がシロウリ貝群集直下の径1m程度の範囲に集中して存在することが明瞭に示された。この湧出水はやや、深部からもたらされたメタン、硫黄等を含み貝の生育を助ける共生バクテリアの餌となると共に、酸素に富んだ表層間隙水により酸化されて炭酸カルシウムをつくり、周囲の堆積物の間隙を埋めて堆積物を固結させる働きをすることがわかった。湧水帯が集中する海溝付加帯の変動前面(水深3800〜3600m)でも1m弱の軟い堆積物の下に固化した砂泥の存在が推定され、海底にもいくつかの堆積物チムニ-が顔を出していることが曳航テレビと潜水船で観察されて試料採取にも成功した。この地点では3ケ月にわたる地殻熱流量と海底電位差の連続測定が行われ、有意な時間変動を検出している。一方、変動前面の上方に当るバックスラスト域(水深2000m)では小さなシロウリ貝群集が発見されスラストに沿う小規模の湧水が推定されるが、それ以外の海底には貝殻を含む固結した堆積物が露出し侵食を受けていることが判った。前面域で堆積し固化したものがしだいに上方に押し上げられて一部が露出するがほとんど地層内にとり込まれて行く一連の過程が1地域で観察されたことになり、プレ-ト沈み込みに伴う海溝付加帯の生成と成長についてこれまで古い地質時代の地層について推定されていたできごとが、現に海底で起こっているようすをありのまゝにとらえることができた点で日仏協力KAIKO-NANKAI計画の一環としても価値の高い成果である。