著者
馬上 謙一 山本 征生 長尾 敬介 本田 雅健
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.154-154, 2006

鉄隕石Gibeon(IVA)のいろいろなフラグメントの希ガス(He、Ne、Ar)同位体組成を測定した。これらの希ガスは宇宙線照射起源であり、地球落下前の鉄隕石の表面付近と中心部分の3Heのガス量の分布が6桁ほども差があることがわかった。このような鉄隕石のデータはこれまで報告されたことがない。鉄隕石の希ガス分析は、石質隕石の分析に較べて様々な実験的困難が伴う。本講演では、特に宇宙線照射起源希ガス濃度が低い中心部の試料の測定方法について詳細に述べる。
著者
藤谷 渉 古川 善博 菅原 春菜 馬上 謙一 Nancy L. Chabot 小池 みずほ 三浦 弥生 Frederic Moynier Sara S. Russell 橘 省吾 高野 淑識 臼井 寛裕 Michael E. Zolensky
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.88, 2020 (Released:2021-01-29)

火星衛星探査計画(MMX)は火星衛星フォボスからのサンプルリターン計画であり、2024年に探査機打上げを予定している。本計画では、コアリングおよび空気圧サンプリング機構により表層レゴリス試料を10 g以上回収することを目標としている。試料分析ワーキングチーム(SAWT)は現在、回収試料の分析プロトコルを作成中である。まず、試料の岩石鉱物学的観察、全岩化学組成および同位体組成から、フォボス材料物質の起源に関する情報を得る。フォボス表面で起こるプロセスは、希ガスの同位体比や試料表面の宇宙風化組織の詳細観察によって明らかになる。さらに、放射性核種による年代測定は、フォボス物質の変成作用など重要なイベントに時間的制約を与える。また、フォボスレゴリスには小天体衝突によって火星から放出された物質が少量含まれると予想されている。フォボス表面に存在するであろう火星物質は極めて貴重な試料であり、そうした物質をキュレーションの段階において発見するための手順・方法についても議論を進めている。
著者
馬上 謙一
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.219-221, 2016-10-01 (Released:2016-10-15)
参考文献数
6

北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学部門地球惑星システム科学分野地球化学研究グループでは,太陽系の起源と進化の解明を目指しています.そのため,光学顕微鏡,電子顕微鏡,X線分光法,質量分析法などの手法を駆使して,地球内外の物質を正確に分析し,解析しています.この結果,全く新しい惑星や太陽系の起源や生い立ちが詳しくわかってきました.また,地球内外物質からこれまで読み取られていなかった全く新しい情報を獲得するため,物質を解析する新しい方法(分析法,解析装置,合成装置)の設計・開発も同時に行っています.また,これら一連の研究の中に,現在まで認知されていない自然法則や現象が潜んでいて,それを発見できれば一層楽しいと考えています.現在筆者が使用している質量分析装置は非常に小さな領域(μmからnmスケール)の希ガス同位体を測定するためのスパッタ中性粒子質量分析装置(Sputtered Neutral Mass Spectrometer; SNMS)です.この装置の開発の経緯やどのような分析ができるのかを紹介させていただきます.
著者
馬上 謙一 坂口 勲 鈴木 拓 糸瀬 悟 松谷 幸 工藤 政都 石原 盛男 内野 喜一郎 圦本 尚義
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.8, 2013 (Released:2013-08-31)

Nagao et al. (2011) によるはやぶさ試料の希ガス同位体分析は太陽風照射とそれに伴う太陽風起源He/Ne間の分別を明らかにした.しかし,希ガス分析は粒子一粒ごとの結果でありSTEM観察との直接比較を行うには希ガス分析事前にSTEM観察を行うなど,分析方法の工夫が必要である.そこで,我々が開発したポストイオン化二次イオン質量分析装置LIMAS(Laser Ionization Mass Nanoscope)を用いることで,希ガス同位体分析を数十nmスケールの空間分解能で行うことが可能となり得る.本発表では新しい局所希ガス同位体分析手法をもとに,イトカワ表層での太陽風照射の履歴に関して期待される結果について述べる.