著者
三浦 弥生
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.182, 2006 (Released:2007-11-01)

分化隕石の多くは始源的希ガス成分含有量が少ないため、宇宙線照射起源や核分裂起源希ガス成分を研究するのに適している。講演者がこれまでに多数分析を行ったユークライトやオーブライト隕石(いずれも分化隕石の一種)について、(i) 測定値から宇宙線照射起源や核分裂起源希ガス成分を算出する手法、(ii) 得られた各成分の同位体組成、(iii) 宇宙線照射起源希ガスの生成率(81Kr-Kr法に必要なP81/P83の見積もり法を含む)、(iv) 地球大気起源希ガスの影響、等について検討を行った。これらについて報告する。
著者
藤谷 渉 古川 善博 菅原 春菜 馬上 謙一 Nancy L. Chabot 小池 みずほ 三浦 弥生 Frederic Moynier Sara S. Russell 橘 省吾 高野 淑識 臼井 寛裕 Michael E. Zolensky
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.88, 2020 (Released:2021-01-29)

火星衛星探査計画(MMX)は火星衛星フォボスからのサンプルリターン計画であり、2024年に探査機打上げを予定している。本計画では、コアリングおよび空気圧サンプリング機構により表層レゴリス試料を10 g以上回収することを目標としている。試料分析ワーキングチーム(SAWT)は現在、回収試料の分析プロトコルを作成中である。まず、試料の岩石鉱物学的観察、全岩化学組成および同位体組成から、フォボス材料物質の起源に関する情報を得る。フォボス表面で起こるプロセスは、希ガスの同位体比や試料表面の宇宙風化組織の詳細観察によって明らかになる。さらに、放射性核種による年代測定は、フォボス物質の変成作用など重要なイベントに時間的制約を与える。また、フォボスレゴリスには小天体衝突によって火星から放出された物質が少量含まれると予想されている。フォボス表面に存在するであろう火星物質は極めて貴重な試料であり、そうした物質をキュレーションの段階において発見するための手順・方法についても議論を進めている。
著者
三浦 弥生
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.15-20, 2017

<p> 火星起源と考えられる隕石の数は170個を超え,それらの多くは13億年前よりも若い結晶化年代を示すが,1984年に南極で発見されたAllan Hills 84001(ALH 84001)は約45億年前という太陽系形成時期に近い結晶化年代を示す.炭酸塩鉱物や有機物を含む斜方輝石岩であるこの隕石は,古い時代の火成活動・水質変成・天体衝突の痕跡,それらの時期や規模に関する情報を与える貴重な隕石である.</p>
著者
三浦 弥生 山口 亮 長尾 敬介
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.168, 2004 (Released:2007-02-23)

神岡隕石は秋田県仙北郡神岡町に1900年代前半に落下した隕石である。昨年持ち主により同県立博物館に届けられ、その後の鑑定によりH4コンドライトと同定され国際隕石学会に登録された。本研究では、神岡隕石の希ガス同位体分析を行い、宇宙線照射履歴やガス保持年代、および捕獲起源希ガス量等について調べた。宇宙線照射起源22Ne/21Ne比より、この隕石は宇宙線照射に対するシールド効果が高く、比較的大きな塊の内部で宇宙線照射されたことが示唆された。宇宙線照射年代は約 6 m.y. である。また、捕獲起源希ガス量(84Kr=1.2e-10, 132Xe=1.8e-10 cm3STP/g)はこれまでに見られる H4 コンドライトの範囲内ではあるが低めであり、むしろ H5 コンドライトの値に近い。発表では秋田県仙北郡で見つかった他の H コンドライト隕石データーとの比較も行う予定である。