- 著者
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高久 恭子
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
本研究課題は、コンスタンティヌス一世以後のローマ帝国における親キリスト教政策を放棄して新プラトン主義を参照項に多神教系祭儀の振興を志した四世紀のローマ皇帝ユリアヌス(331/2-363年、在位361-363年)の著作にみられる宗教思想を体系的に解明し、彼が「過てる哲人王」「キリスト教の敵」と認識されるに至る経緯を同時代人の著作を分析して明らかにする。また、ユリアヌス像が初期近代に「古典の擁護者」へ、近代以降には「戴冠せるロマン主義者」へ変容を遂げる過程を観察し、その宗教史的意義を考察する。成果の一部は『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』(慶應義塾大学出版会、2016年)に結実した。