著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 高井 啓介 小堀 馨子 月本 昭男 高橋 英海 菊地 達也 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 長谷川 修一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

本研究課題は、3つの唯一神教の違いを明らかにして、ユダヤ教・イスラム教のもつ啓示法的宗教が歴史的に果たした意義を明示することである。そのためには、キリスト教が発展したギリシア・ローマ地域の社会構造とイスラーム世界の社会構造の比較へと論を展開できるようにしなければならない。今年度も、事務局体制によって全体計画を立案構想し、個別研究とともに、全体計画を定め、主として3つの課題を遂行した。第1に、3つの研究班ごとの発表を1回に集約して各班より1名の研究発表を7月に実施することができた。その中の1名の発表を年度末の国際シンポジウムで英語による発表として採用することも決まった。第2には、8月にドイツのエアフルト大学で開催された国際宗教史学会IAHRにおけるパネル参加と1名の個別ポスター発表が実施された。パネル発表では、ローマ帝国の宗教と一神教の違いが最も鮮明に現れる動物供犠に注目して、一神教が古代の宗教意識の変化をもたらした点を明らかにした。第3に、年度末の国際シンポジウムでは、中世イスラム社会の諸宗教を扱う格好の事例として「ゲニザ文書」の専門家を招聘して、バビロン捕囚時代の碑文資料研究とを組み合わせた。研究課題は、「ユダヤ的共同体の萌芽と中世における展開:一次史料による比較」である。啓示法成立以前と以後の共同体性の比較研究へのきっかけをつかむことができた。最終年度に向けての課題として残っている点について。これまで、二つの文明における宗教の役割に留意して、当初より違いを際立たせる名称を使ってきた。キリスト教を、人間の内面の信仰のみを拘束する「信仰の宗教」として、ユダヤ教とイスラム教を、日常生活が唯一神の啓示によって網羅的に拘束される「啓示法の宗教」とした。この名称については、分担者にも異論のあるところで、まだ十分に吟味されておらず、この点は最終年度の重要な課題となる。
著者
長谷川 修一
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.336-344, 2010 (Released:2013-03-31)
参考文献数
20

高松クレーターは, 重力探査によって発見された伏在陥没構造で, 高松平野南部の仏生山町を中心に直径約4km, 深さ千数百mの規模と推定されている. 高松クレーターをめぐっては, 1994年から約10年間, その成因と渇水時の地下水源としての利用について論争が続いた. 高松クレーター論争は, 学会における議論により, 「夢」と「ロマン」と「渇水の切り札となる水源」として, マスメディアの報道が先行した特異な事例である. また, 高松クレーターの報道によって, 行政が水源調査を行い, 民間会社が温泉事業に投資し, 市民が地域おこしの題材とするなど, 単なる科学論争を超えた社会現象になった. 本稿では, 高松クレーターに関する論争と新聞報道を検証し, 応用地質学の市民生活に貢献のあり方を考察した. 高松クレーターでは, 日本初の隕石衝突孔なら, 地底湖があればと市民に期待をいだかせる報道に対して応用地質学の論理展開を軸に表層地質, 物理探査およびボーリング試料の分析・試験データに基づき繰り返し反論・説明することによって, 一方的な科学情報による地元の混乱と科学者や技術者の信用失墜を未然に防止することができた.
著者
山崎 晴雄 佃 栄吉 奥村 晃史 衣笠 善博 岡田 篤正 中田 高 堤 浩之 長谷川 修一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.129-142, 1992-12-15
被引用文献数
6

中央構造線(MTL)は西南口本を南北に二分する主要な地質構造線である。この断層は第四紀における日本で最大級の右横ずれ活断層でもある。その活発な活動度にも拘らず, MTLに沿っては歴史地震の発生は知られていない。長期的な地震予知や災害アセスメントに有効な最近の地質時代における断層の運動史を知るため, 1988年の夏中央構造線活断層系の一部である西条市近傍の岡村断層でトレンチ発掘調査を行なった。5つの小トレンチとそれらを繋ぐ細長い溝で構成される調査トレンチでは, 更新世末から歴史時代までの5つの地層ユニットと, それらの顕著な断層変位が認められた。各ユニットの堆積時期は地層中に含まれる有機物試料の^<14>C年代と土器片の考古学的編年によって決定された。断層は2000年前〜4世紀に堆積したIIIb層を切り, 7世紀以降に堆積したIIIc層に覆われるので最終活動時期は4〜7世紀と推定された。この値は1984年に行なわれた同じ断層の発掘調査結果と一致する。また, これ以外の断層活動時期も地層の不整合や変形構造に基づいて識別された。
著者
長谷川 修一 山中 稔 野々村 敦子
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

平成27年度は、東松島市宮戸島の奥松島縄文村歴史資料館の敷地内において、オールコアボーリングを実施し、延長70mのコアを採取した。また、採取したコアを利用して、色彩測定、帯磁率測定、エコーチップ硬度の非破壊試験を行うと共に、室内で密度試験、超音波試験,点載荷試験、X線回折試験を行い、巨大地すべりによって形成されたすべり面(層)の有無について検討を行った。ボーリングコアは、7.9mで着岩し、基盤岩は軽石凝灰岩、砂岩、凝灰質砂岩の順番で重なっている。深度47.2mに軽石凝灰岩(上位)と砂岩(下位)との境界があり、境界直下の砂岩層のRQDの値は100%から28%になり、割れ目が発達している。また、この部分で帯磁率とエコーチップ反発硬度の値も急に小さくなっている。この砂岩の密度の平均値は1.03(g/cm3)と、上下の軽石凝灰岩の乾燥密度の平均値1.14(g/cm3)と比較して小さいのが特徴である。また砂岩の吸水率の平均値は約34%で、軽石凝灰岩の約25%と比較して、非常に大きな値で、空隙の多い半固結砂岩である。この砂岩層の深度にすべり面(層)の砂層を想定していたが、未固結の砂層ではなく、半固結砂岩が確認された。この半固結砂岩層は、すべり面(層)の可能性がある者の、現時点では確証は得られていない。このため、29年度は年代測定などを実施するなど、更に検討を進める予定でsる。なお、深度60.35~60.65mにかけて,色彩の変化が明らかであり,風化が地下深部まで及んでいる。この深層の風化と地すべりとの因果関係の解明も今後の課題である。
著者
矢田部 龍一 八木 則男 佐藤 修治 長谷川 修一
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.42-49_1, 1997-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

本報告は四国の中央構造線に沿った道路建設に伴い発生した地すべり地の特性について検討を行ったものである。その結果, 地すべりは大半が切土に伴う崩積土のすべりであり, 規模は比較的小規模なものが多く, また, 中央構造線の断層破砕帯の地すべり地の粘性土のせん断抵抗角は小さく, 難工事となりやすいことがわかった。
著者
矢田部 龍一 岡村 未対 ネトラ バンダリー 長谷川 修一 森脇 亮 鳥居 謙一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究より得られた主な成果として, 1)ネパール国カトマンズ盆地における微動観測による地震時地盤の応答解析と2)中央ネパール低ヒマラヤ地域における地すべりマッピングとハザード解析が挙げられる。また,研究期間中に3回のセミナーを通してヒマラヤン地域を代表するネパール国の小中学校における防災教育の展開について様々な議論を行い,昨年5月にネパール政府文部省と教育局との会談を実施し,今後ネパールの小中学校における防災教育のカリキュラム化と学校を中心とした地域社会における防災教育の展開について十分に認識されてきました。防災教育と地域協力に関しても,ヒマラヤ地域を代表する南アジア地域協力連合(SAARC)を通して活動展開する目的で,各国の防災研究者や関係機関,特にSAARC防災センター(SDMC)との連携も進めており,近い将来豪雨や地震等による自然災害に対する共同研究活動や防災教育の実施が期待できる。