- 著者
-
高原 周一
- 出版者
- 一般社団法人 日本科学教育学会
- 雑誌
- 日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.7, pp.49-54, 2016 (Released:2018-04-07)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
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一般に、有機化合物の燃焼時に発生するススの量は分子中に二重結合があって炭素含有率が高いほど多くなることが知られており、高校化学の教科書も掲載されている。最近、燃焼時のススの発生について食用油を用いた教材が提案された(板倉,2013)。食用油の主成分である油脂分子(トリアシルグリセロール)の炭化水素鎖中の二重結合の数は食用油の種類によって異なるが、ある条件で食用油を燃焼させた時のススの発生の有無はこの二重結合の数で決まるとする内容である。この教材は身近な食用油を使っているなどの点で非常に優れた教材であるが、ススの発生の有無は炎の大きさにも依存する、食用油の油脂以外の成分がススの発生の有無に影響する可能性があるなど、検証が必要な点もあると考えた。そこで、炎の大きさを変えて種々の食用油および純成分の油脂のススの発生量を定量した。その結果、食用油を燃焼させた時のススの発生量は油脂分子の二重結合の数と相関があることが確認できた。