- 著者
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高坂 史朗
- 雑誌
- 人文研究 (ISSN:04913329)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.8, pp.1-17, 2004-03
1 狩野直喜の『中国哲学史』には次のようなエピソードが紹介されている。「兪樾(蔭甫・曲園)は中国に於ける近時の大儒で, 経学・文章を以て名を海の内外に馳せ, 著述も多く, 我国の人で就いて教を請ひし人もあつた位であるが, 彼のまだ存命中, 我国に於て余の一友人が其の著述を読み, 哲学雑誌に「兪曲園の哲学」なる題目で其の学説を紹介したことがあつた。然るに其の後, 春在堂全書といふ彼の全集の舶載され来つたのを見ると, 其の中に, 日本の学者が己の学説を紹介したるを喜び作つた詩がある。其の一節に「挙世人人談哲学。傀我迂疏未研権。誰知我即哲学家。東人有言我始覚。」と。……