著者
高村 明
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構豊田工業高等専門学校
雑誌
豊田工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02862603)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.52-14, 2020 (Released:2020-02-25)

複素関数論において微分可能性を保証する必要十分な条件がコーシー・リーマンの関係式である.また, 複素関数は実2次元平面から実2次元平面への変換である.このノートの前半では,複素関数の微分可能 条件はこの変換のヤコビ行列の固有値・固有ベクトルが満たす条件と等価であることを示す.そして,コー シー・リーマンの関係式はヤコビ行列を対角化した時の非対角成分と同等であることを示す.複素数は虚数 単位i = √−1 を使って表現されるが,この代わりに違う複素数を使う事も可能である.後半では,異なる 複素数の表現を使った場合に,その微分可能条件からコーシー・リーマンの関係式に類似した式が導けるこ とを示す.また,この関係式もヤコビ行列の固有値・固有ベクトルが満たす条件と等価であることを示す.
著者
高村 明
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構豊田工業高等専門学校
雑誌
豊田工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02862603)
巻号頁・発行日
vol.50, 2018

ピタゴラスの定理a^2+b^2=c^2を満たす自然数解はピタゴラス数と呼ばれており,すべての自然数解が求められている.しかしながら,ピタゴラスの定理の指数2を指数nにすべて拡張したディオファントス方程式a^n+b^n = c^nにはnが3以上の整数で自然数解が存在しない.これはフェルマーの最終定理と呼ばれる未解決問題であったが,約360年ぶりにワイルズによって証明された.フェルマーの最終定理はピタゴラスの定理の指数を拡張したものであるが,指数の拡張の方法は一義的ではない.このノートでは,ピタゴラスの定理の指数をすべてではなく部分的に拡張したディオファントス方程式a^2+b^2=c^nやa^2+b^n=c^2にも自然数解が無限に存在することを示す.さらに,ピタゴラス数のパラメータ表示を拡張する形で,きれいにパラメーター表示できることも示す.
著者
吉田 敬 高村 明 梅田 秀之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではr-processやνp-processなど重元素合成に関するネットワークの拡張やニュートリノ駆動風におけるこれら重元素合成の計算を行い,r-processのベータ崩壊率に対する依存性や極超新星のニュートリノ駆動風におけるνp-processについて調べた.しかしニュートリノ自己相互作用については動径方向近似での計算は可能となったが角度依存性の導入や最終的な定式化には至らなかった.そのため今後も研究を継続していきたい.超新星元素合成についてはニュートリノ元素合成で作られるフッ素の銀河化学進化や超巨大質量星を起源とする極超新星における元素合成の特徴を明らかにした.
著者
高村 明
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構豊田工業高等専門学校
雑誌
豊田工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02862603)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.51-12, 2019 (Released:2019-02-12)

3辺の長さが整数であって,1つの角度が120◦(あるいは60◦)の三角形は(あるいは半角)アイゼン シュタイン三角形と呼ばれる.アイゼンシュタイン三角形の3辺を求める問題は,楕円上の有理点を求める 問題に翻訳することが出来る.その一方,オイラーの公式を一般化することで楕円上の点を表す新しい関数 が定義できる.この新しい関数は三角関数と類似の加法定理を満たす.この新しい関数を,このノートでは 楕円型2次曲線関数と呼ぶことにする.このノートの後半では,この楕円型2次曲線関数を整数論へ応用す る.アイゼンシュタイン三角形の有理点を与えるパラメータ公式が,この楕円型2次曲線関数の半角の公式 から導けることを示す.
著者
高村 明
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構豊田工業高等専門学校
雑誌
豊田工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02862603)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.53-13, 2020 (Released:2021-02-04)

実数の拡張として分解型複素数[1] と呼ばれる数がある.複素数は体であるが,この分解型複素数は体で はなく環である.このノートでは,双曲線版のオイラーの公式を使って,分解型複素数を定義する.そして, 分解型複素数平面における距離を行列ノルム[2] を使って定義し,分解型複素数を変数にもつべき乗の極限 limn→∞ zn は,円ではなく正方形を収束領域に持つことを示す.さらに,分解型複素数を変数に持つ関数 の微分可能条件からコーシー・リーマンの関係式に類似した関係式を導く.最後に,複素関数のコーシー・ リーマンの関係式と違って,分解型複素数を変数とする関数の微分可能条件は,微分する方向によらないと いう条件から導かれるコーシー・リーマンの類似関係式よりも強いことを示す.
著者
吉田 敬 高村 明 梶野 敏貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではニュートリノがマヨラナ粒子で磁気モーメントを持つ場合における超新星ニュートリノのフレーバー変換と超新星ニュートリノの観測可能性について調べた。その結果、ある特定のニュートリノ振動パラメータの場合にはスーパーカミオカンデで観測される超新星ニュートリノスペクトルの時間進化や将来の液体Ar検出器で観測されるニュートリノイベントにニュートリノ磁気モーメントによる効果が検出されうることが得られた。また、Ic型超新星での軽元素合成やr-過程元素合成のニュートリノ振動に対する影響も調べている。