著者
高梨 琢磨 中野 亮
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.130-133, 2007 (Released:2008-08-31)
参考文献数
25

ガ類において聴覚は,コウモリによる捕食の回避や種内の音響交信をおこなう上で重要である.大部分の種は,ヒトが感知できない超音波に対して,感受性のある鼓膜器官を聴覚受容器として持つ.本稿では,ガ類における聴覚系の特性を,鼓膜器官の構造・機能及びそれらの多様性について解説する.聴覚が司るガ類のユニークな行動である,コウモリの発する「死」の超音波からの回避と,「愛」の超音波による種内交信について,生理・生態から進化的背景までの知見を解説する.
著者
高梨 琢磨 土原 和子 山崎 一夫 杉浦 真治
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

チョウ目の幼虫は、体表に存在する糸状の機械感覚子(以下、糸状感覚子)で音や気流を感知することが知られている。本課題において、この糸状感覚子の同定並びに比較を複数の分類群においておこなったところ、糸状感覚子を1)胸部にのみを持つ種、2)腹部にのみ持つ種、3)腹部と胸部の両方に持つ種、そして4)糸状感覚子を欠く種がみられた。感覚子の有無は、植物体内外での摂食(内部食や外部食)等の生活様式と捕食回避に関連していると考察した。