- 著者
-
大成 博文
高橋 正好
- 出版者
- 徳山工業高等専門学校
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2002
マイクロ・ナノバブル技術を用いて,閉鎖海域における海洋生物の蘇生と海洋環境の水質浄化に関する研究を行い,以下の成果を得た.(1)マイクロ・ナノバブル発生装置を開発し,マイクロ・ナノバブルの直径と上昇速度を計測した.その結果,1〜10μmの気泡径を有する「マイクロナノバブル」の存在を確認するとともに,「マイクロバブル」から「マイクロナノバブル」へと収縮する過程を詳しく検討した.(2)マイクロ・ナノバブルの発生装置の内部について高速度撮影を行い,マイクロ・ナノバブルの発生が秒速400回転程度の旋回速度で発生し,その静電摩擦によって,マイクロ・ナノバブルの物理化学的特性が生まれるという「サイズ効果」の存在を明らかにした.(3)マイクロ・ナノバブルの生理活性効果を見出し,それが,2枚貝のみならず,人体においても発生することを明らかにした.とくに,マイクロ・ナノバブルの供給によって,通常の2倍前後の血流促進効果を見出した.(4)マイクロ・ナノバブル技術を水産養殖に適用し,広島カキ養殖,北海道ホタテ養殖,三重真珠養殖における成果を系統的に検討した.また,その技術的成果における課題を明確にした.以上を踏まえ,マイクロ・ナノバブルによる水環境蘇生技術の可能性と展望を明らかにした.