著者
山内 秀雄 野田 泰子 須貝 研司 高嶋 幸男 黒川 徹
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.492-496, 1991-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
10

前頭葉起源の自動症を呈する2例を報告した.共通した自動症の臨床的特徴は,(1) 開始, 終了が突然である,(2) 発作時間が短い,(3) 動作停止ないし凝視期がない,(4) 腹臥位になり四肢および体幹を激しく不規則に動かす, うなり声ないし悲鳴様の大きな発声を伴うあるいは急に走りだすことがある,(5) 群発する傾向をもつ,(6) 発作時に意識が保たれていることがあり, 発作直後より意識は清明である,(7) 難治性である,(8) 偽性てんかんと誤診されやすい, などであった.自動症時の脳波は激しい運動活動のためartifactのみしか捉えられなかった.自動症開始直前に前頭部, 前頭極部の低振幅律動性速波を認め, また直後の脳波所見は覚醒閉眼時で両側前頭部, 前頭極部に高振幅徐波を認め, 同時に後頭部を中心にα波を認めた.これらの脳波所見は発作の中心が両側前頭葉に限局し, 他の部位に波及しなかったことを示唆するものと考えられた.
著者
黒川 徹
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.45-51, 2021 (Released:2022-01-15)
参考文献数
9

【要旨】遠城寺式乳幼児分析的発達検査法は1960年に発表され、1975年に九州大学小児科改訂版が出版された。本検査法は運動、社会性、言語の各々の領域の発達を評価し、その凹凸をグラフで示し、しかも経過も分りやすく表示され、発達の特徴が一見して分かる。検査に多くの時間を要しない、設問が日常生活に密着し、特別な用具も不要であるところから、小児を専門とする者であれば、比較的容易に検査ができる。それ故、本検査法は小児保健、小児医療、教育、発達学等幅広い分野で、全国津々浦々で長年に亘って用いられて来た。
著者
山内 秀雄 平野 悟 桜川 宣男 黒川 徹
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.291-293, 1992

顔面および下肢の皮膚の単純性血管腫, 同側の頭皮動静脈凄, 対側の小脳動静脈奇形を同時に合併した7歳女児を報告した. 小脳出血で発症し, 発症までの精神運動発達および診察上神経学的所見は正常であった. 皮膚および頭蓋内病変の合併が偶然である可能性も否定できないが, 病因論的には胎芽期における血管形成期の錯誤現象の結果生じたものと考えた. これまで報告されている神経皮膚症候群中で本例に該当するものはない. しかし本例は, 神経皮膚症候群の基本的疾患概念を満足するものであり新しい神経皮膚症候群である可能性をもつものとして考慮すべきであると考えられた.