著者
馬渡 直子 刈茅 茂 山下 裕史朗 高嶋 幸男 松石 豊次郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.373-377, 2007-09-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
9
被引用文献数
2

福岡県南部において, 看護師配置のない養護学校では児童生徒の医療的ケアがどのように行われているかについて調査を行った.調査は養護学校4校の児童生徒633名を対象に担任教諭へのアンケートで行った. その結果, 全体の24%が何らかの医療的ケアを受けており, 特に医療三行為 (吸引, 経管栄養, 導尿) を要する児童生徒は訪問教育が主体であり, 通学する際には家族の常時付き添いが必要であった. また, 摂食嚥下や呼吸の問題に担任教諭が不安を抱いていること, 医療的ケアの必要な予備軍も存在し得ることが明らかとなった. 児童生徒の安全で健康的な学校生活のため, 医療, 療育スタッフの連携のもと, 医療的ケアの整備・拡大が急がれる.
著者
山内 秀雄 野田 泰子 須貝 研司 高嶋 幸男 黒川 徹
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.492-496, 1991-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
10

前頭葉起源の自動症を呈する2例を報告した.共通した自動症の臨床的特徴は,(1) 開始, 終了が突然である,(2) 発作時間が短い,(3) 動作停止ないし凝視期がない,(4) 腹臥位になり四肢および体幹を激しく不規則に動かす, うなり声ないし悲鳴様の大きな発声を伴うあるいは急に走りだすことがある,(5) 群発する傾向をもつ,(6) 発作時に意識が保たれていることがあり, 発作直後より意識は清明である,(7) 難治性である,(8) 偽性てんかんと誤診されやすい, などであった.自動症時の脳波は激しい運動活動のためartifactのみしか捉えられなかった.自動症開始直前に前頭部, 前頭極部の低振幅律動性速波を認め, また直後の脳波所見は覚醒閉眼時で両側前頭部, 前頭極部に高振幅徐波を認め, 同時に後頭部を中心にα波を認めた.これらの脳波所見は発作の中心が両側前頭葉に限局し, 他の部位に波及しなかったことを示唆するものと考えられた.
著者
倉賀野 志郎 高嶋 幸男 岡嶋 恒 奥山 洌 玉井 康之 諫山 邦子
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は報告書として、第一分冊としては、『北海道教育大学・釧路校:地域学校教育専攻における地域・学校との連携による学生の主体的・体験的な学習活動を取り入れた実践的カリキュラムの活動記録』として、また第二分冊として、『北海道教育大学・釧路校のへき地教育実習』として整理されている。また、各地域等の学校への普及用にパンフレットも作成している。第一分冊に関しても、学校訪問と地域連携とのかかわりの中で、二年間に実際に実施してきた活動が含まれている。列記すると、へき地実習関係(第二分冊)を除いても、標津町(薫別小中学校、忠類小学校)、中標津(養老牛小学校)、鶴居村(幌呂小学校)、標茶(久著呂小中学校)、釧路市:元・阿寒町(阿寒湖畔小中学校)、音別小学校、浜中(姉別南小学校)の学校に加えて科学の祭典(青少年科学館、遊学館)の実行委員として、通学合宿としては3地域(浜中・標津・本別)がある。また、北海道・自由が丘月寒フリースクールとは長年にわたって継続的に実験学校としての実習を行なってきている。さらには北海道のへき地を理解するためにも、釧路校と連携している沖縄の離島の学校訪問や、海外ではアラスカ、モンゴルにも赴いてきている。これらは4年間のカリキュラム構造と特質に基づいて配置してきたものである。各々について年次進行と合わせると下記のようになる。活動内容は、年次にまたがるものも多いが、主なる学年という形で表現されている。1年次では、地域にかかわっては薫別、忠類、養老牛、幌呂、久著呂などの小学校等、また科学の祭典の参画。2年次では、地域にかかわっては幌呂、音別、姉別南、通学合宿では通学合宿(標津・本別)3年次では、通学合宿(標津・本別)に加えて、へき地実習(薫別、忠類、古多糠、植別、飛仁帯、久著呂、沼幌、幌呂の小学校等)4年次・大学院では、幌呂、久著呂、忠類、幌呂、阿寒湖畔中で研究授業を実施。また学年横断としては、北海道・自由が丘月寒フリースクールの実験学校実習、沖縄離島学校訪問、アラスカ、モンゴルでの学校訪問等。
著者
水口 雅 山内 秀雄 伊藤 雅之 高嶋 幸男 岡 明 齋藤 真木子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

急性壊死性脳症(ANE)と痙攣重積型急性脳症(AESD)の病因を解明するため、遺伝子解析を行った。全国的な共同研究により日本人患者の末梢血検体を集積し、候補遺伝子の変異・多型を調べた。AESD の発症にミトコンドリア酵素 CPT2 多型とアデノシン受容体 ADORA2A 多型、ANE の発症に HLA 型が関与することが明らかになり、病態の鍵となる分子が同定された。日本人の孤発性 ANE は、欧米の家族性 ANE と異なり、RANBP2 遺伝子変異が病因でないことが判った。
著者
倉賀野 志郎 玉井 康之 笠間 浩幸 奥山 洌 高嶋 幸男 明神 勲
出版者
北海道教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本教師教育に関する研究では、教師の成長を教師の体験性と理論の相互作用としてとらえ、その上で、教師の体験を(1)自然体験による自然科学的認識、(2)社会体験による社会科学的認識、(3)生活体験による生活科学的認識の3つに分類して経験を提供した。(1)の自然体験では、ゴミ袋バルーン作りによる自然の不思議発見学習を行った。(2)の社会経験では、地域の産業学習として、酪農体験学習、鮭の養殖・捕獲・加工の体験学習、羊毛製造体験学習、を行った。生活体験では、郷土料理作りとその意味学習を行った。これらの体験学習によって、教師の教材の説明の幅が厚くなり、実感のこもった内容説明ができるようになることが明らかになった。また、体験の数が少なくても、深い実体験をすることによって、他の分野の説明にも応用が効くようになったことが明らかとなった。