著者
山内 秀雄 野田 泰子 須貝 研司 高嶋 幸男 黒川 徹
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.492-496, 1991-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
10

前頭葉起源の自動症を呈する2例を報告した.共通した自動症の臨床的特徴は,(1) 開始, 終了が突然である,(2) 発作時間が短い,(3) 動作停止ないし凝視期がない,(4) 腹臥位になり四肢および体幹を激しく不規則に動かす, うなり声ないし悲鳴様の大きな発声を伴うあるいは急に走りだすことがある,(5) 群発する傾向をもつ,(6) 発作時に意識が保たれていることがあり, 発作直後より意識は清明である,(7) 難治性である,(8) 偽性てんかんと誤診されやすい, などであった.自動症時の脳波は激しい運動活動のためartifactのみしか捉えられなかった.自動症開始直前に前頭部, 前頭極部の低振幅律動性速波を認め, また直後の脳波所見は覚醒閉眼時で両側前頭部, 前頭極部に高振幅徐波を認め, 同時に後頭部を中心にα波を認めた.これらの脳波所見は発作の中心が両側前頭葉に限局し, 他の部位に波及しなかったことを示唆するものと考えられた.
著者
中川 栄二 石川 充 山内 秀雄 花岡 繁 須貝 研司
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.571-573, 1993-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6
被引用文献数
2

経管栄養を受け血清亜鉛値が低値であった重症心身障害児 (者) 8名に亜鉛欠乏症の治療を目的とし, 硫酸亜鉛, きなこ, ココアを投与してそれぞれの投与前後の血清亜鉛値の変化を検討した. 投与量は, 硫酸亜鉛は金属亜鉛として1~2mg/kg/日, きなこは15~259/日 (亜鉛としては0, 7~hng/日), ココアは6~129/日 (亜鉛としては0.7~1mg/日) とした. 投与前後の血清亜鉛値は, 硫酸亜鉛では45.5μ9/dl±8.1から76.5μ9/dl±4, 5に, きなこでは53.5μ9/dl±6.4から67.6μ9/dl±9.4に, ココアでは53.7μg/dl±7.2から66.4μg/dl±59にそれぞれ変化し, 硫酸亜鉛, きなこ, ココアのいずれも投与後に, より有意に亜鉛値を改善維持した. また, きなこおよびココアは硫酸亜鉛より少ない亜鉛投与量で同等の効果が認められた。さらにココアはきなこより少ないカロリーと投与回数で亜鉛値を改善維持することができた. 以上の点からこの三者の中では, ココアが亜鉛欠乏症改善剤として最も優れていると考えられた.
著者
今高 城治 塚田 佳子 藤澤 正英 宮本 健志 萩澤 進 山内 秀雄 平尾 準一 有阪 治 George Imataka Keiko Tsukada Masahide Fujisawa Kenji Miyamoto Susumu Hagiwara Hideo Yamanouchi Jun-ichi Hirano Osamu Arisaka 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.161-165, 2009-10-25

当院で臨床的に脳死状態と判定してから長期間の入院経過をたどった3小児例を報告した.脳死判定の基準は,平成11年度・厚生省「小児における脳死判定基準」を参考とした.国内の小児脳死症例調査の蓄積は十分ではないが,小児の脳死では長期間の経過をたどる例が多く問題視されている.現在,当院の小児病棟には,長期の臨床的脳死児を管理するための終末期医療に適した病床環境がなく,一般の急性期入院児と同室で長期脳死児の管理を行っている.当院の小児病棟に終末期ケアの可能なベッドが一日でも早く確保されることが望まれる.We herein report three pediatric cases that stayed at ourhospital for a long period of time after they were determinedto be clinically brain death. The "Criteria for the diagnosisof brain death in children" issued by the Ministry ofWelfare in 1999 was referred to for determining braindeath. Although a sufficient number of pediatric cases ofbrain death in Japan has not yet been accumulated, one ofthe problems has been that many pediatric cases of braindeath involve a long-term course. The pediatric ward ofour hospital currently does not have an environment suitablefor end-of-life care to manage pediatric cases sufferingfrom long-term clinical brain death, so child patients withlong-term brain death are currently being managed togetherwith general pediatric cases of acute-phase hospitalization.It is hoped that terminal-phase beds that enable longtermtreatment and management will be secured in thepediatric ward of our hospital as soon as possible.
著者
水口 雅 高梨 潤一 齋藤 真木子 廣瀬 伸一 山内 秀雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

急性脳症は急性壊死性脳症(ANE)、けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)、難治頻回部分発作重積型脳炎(AERRPS)などに分類される。これらの症候群には臨床的に多様性と共通性がある。その分子的背景を解明するための包括的な遺伝子解析を行った。ひとつの症候群に特異的なvariationとしてANEではHLA型、IL6、IL10(多型)が、AESDではADORA2A、IL1B多型が、AERRPSではSCN2A多型が同定された。複数の症候群に共通するvariationとしてCPT2、IL1RN多)、SCN1Aミスセンス変異が見いだされた。ほとんどが自然免疫と神経興奮に関わる因子であった。
著者
山内 秀雄 平野 悟 桜川 宣男 黒川 徹
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.291-293, 1992

顔面および下肢の皮膚の単純性血管腫, 同側の頭皮動静脈凄, 対側の小脳動静脈奇形を同時に合併した7歳女児を報告した. 小脳出血で発症し, 発症までの精神運動発達および診察上神経学的所見は正常であった. 皮膚および頭蓋内病変の合併が偶然である可能性も否定できないが, 病因論的には胎芽期における血管形成期の錯誤現象の結果生じたものと考えた. これまで報告されている神経皮膚症候群中で本例に該当するものはない. しかし本例は, 神経皮膚症候群の基本的疾患概念を満足するものであり新しい神経皮膚症候群である可能性をもつものとして考慮すべきであると考えられた.
著者
水口 雅 山内 秀雄 伊藤 雅之 高嶋 幸男 岡 明 齋藤 真木子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

急性壊死性脳症(ANE)と痙攣重積型急性脳症(AESD)の病因を解明するため、遺伝子解析を行った。全国的な共同研究により日本人患者の末梢血検体を集積し、候補遺伝子の変異・多型を調べた。AESD の発症にミトコンドリア酵素 CPT2 多型とアデノシン受容体 ADORA2A 多型、ANE の発症に HLA 型が関与することが明らかになり、病態の鍵となる分子が同定された。日本人の孤発性 ANE は、欧米の家族性 ANE と異なり、RANBP2 遺伝子変異が病因でないことが判った。