著者
野口 亮 黒田 健太 河村 光晶 矢治 光一郎 原沢 あゆみ 飯盛 拓嗣 小森 文夫 辛 埴 尾崎 泰助 近藤 猛
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
日本表面真空学会学術講演会要旨集 2019年日本表面真空学会学術講演会 (ISSN:24348589)
巻号頁・発行日
pp.3Ha04S, 2019 (Released:2019-10-28)

非磁性のスピン分裂が生じるラシュバ効果は、スピントロニクスへの応用が期待されており、様々な物質でその発現が調べられている。本研究で我々は、Ag/Au(111)薄膜の量子井戸バンドにおいて膜厚と量子準位に依存したスピン分裂をレーザースピン分解ARPESによって見出した。さらに第一原理計算により、この振る舞いは量子閉じ込めによる電荷密度分布の変化によって説明できることを明らかにした。
著者
黒田 健太
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

昨年度、スピン角度分解光電子分光を用いてトポロジカル絶縁体におけるディラック表面電子状態の磁場に依存した(時間反転対称性の破れた)スピン電子構造を解明するために、高効率スピン偏極検出器を用いた放射光スピン角度分解光電子分光装置の開発を広島大学放射光科学研究センターで行った。そこで本年度では、開発したその装置を用いてトポロジカル絶縁体ビスマスセレナイドにおける時間反転対称性の破れたデラック表面電子状態のスピン電子構造の完全決定を行った。まず、円偏光の励起光を試料に照射する事で時間反転対称性の破れたスピン偏極度に注目した。この場合、円偏光のヘリシティを外部磁場とみなす事ができる。また、放射光の最大の利点であるエネルギー可変性を十二分に活用する事により、光電効果における終状態効果まで詳細に測定を行った。直線偏光を用いた測定では、ディラック電子状態から放出された光電子のスピン偏極度は時間反転対称性を持った始状態のスピン電子構造を大きく反映する事がわかった。それに対して、円偏光を用いた場合、観測されるスピン偏極度は明らかに時間反転対称性を破っており、直線偏光の結果と大きく異なる。この偏光依存性は光電子のスピン偏極度が円偏光のヘリシティにより励起された事に起因している。また、この円偏光依存性は励起光のエネルギーに強く依存する事がわかった。これらの結果から、円偏光照射により表面にスピン偏極した光電流を創出できる事、さらに選択的にその電子スピンを励起できる事を示している。これらの点で本研究は、光により、電流、スピンを同時に制御したオプトスピントロニクスの実現に向けて重要な知見を与える。