著者
猪原 拓 寺内 靖順 神野 泰 大井 邦臣 西原 崇創 安齋 均 高尾 信廣 西 裕太郎 林田 憲明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.38-43, 2010 (Released:2011-11-02)
参考文献数
17

たこつぼ心筋症から心破裂にいたった1例を経験したので報告する. 症例は89歳, 男性. 細菌性肺炎の診断にて入院. 入院翌日の心電図にてII, III, aVF, V2~6でST上昇を認めたため, 冠動脈造影を施行したが有意狭窄は認めなかった. 左室造影では, 心基部以外はほぼ無収縮であり, たこつぼ心筋症と診断した. 経過中, バイタルサインは安定しており, 心不全, 致死的不整脈を認めることはなかったものの, peak CK 2,200IU/Lという高値であり, ST上昇が遷延していた. 第6病日, 突然PEAとなり, CPRを施行したが, 救命できなかった. 心エコーにて心嚢液の貯留, 心嚢穿刺にて血性心嚢液を認めており, 心破裂にいたったと診断した.たこつぼ心筋症から心破裂にいたった報告は少数しかなく, 臨床的に重要な症例と考えられるため報告する.
著者
湯上 浩雄 齋 均 金森 義明 佐多 教子 圓山 重直
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

我々は、熱光起電(Thermo-Photo-Voltaic : TPV)発電に関する研究を行っていく過程で、フォトニック結晶と類似の表面ナノ構造により熱放射スペクトルが制御できる可能性が有ることを見出した。本研究では、この量子共鳴効果を用いた熱放射スペックトル制御機能の発現原理の解明と、TPV以外の熱工学応用分野への適応性に関して研究を行う。本研究では,熱放射スペクトルの制御を行うことにより,より高効率な熱利用システムを構築するとともに、作製したナノ構造エミッタの熱・光学特性を評価し、機能性発現原理と応用について考察する。前年度行った、Maxwell方程式の厳密解を求めるRigorous Coupled-Wave Analysis(RCWA)法に基づいた解析プログラムコードによる、最適な微細構造の決定、微細領域の放射スペクトルを測定するための放射測定装置の設計と製作に引き続き、以下の研究を行った。・可視領域の輻射スペクトルを選択的に放射する表面ナノ構造体を高融点金属に作製し、高温耐性を有する構造を実現するために、単結晶タングステン金属を用いて表面微細構造を製作し、1400Kにおいても安定な構造を得ることができた。・実際の試料の製作に当たっては製作誤差が不可避であり、それを考慮して改めて設計を行い、周期1.0-1.2μmの試料を作製した。これにより可視〜2.0μmの放射率が増大し、波長特性が改善された。・開発したRCW法に基づく数値解析と、微細構造のパラメータを変化させた試料の放射特性の比較から、今回得られた熱放射特性の変化は、主としてマイクロキャビティ効果に起因することが実験的に示された。