著者
Takayuki Ishikawa Takashi Yamanouchi Ryusuke Kabeya
出版者
The Japanese Society for Neuroendovascular Therapy
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.cr.2023-0004, (Released:2023-04-20)
参考文献数
24

Objective: Carotid artery stenting (CAS) is common procedure for carotid stenosis, but sometimes acute in-stent thrombosis or plaque protrusion after CAS leads to postoperative stroke. There are few reports of aspiration of in-stent plaque protrusion. This paper reports a case of acute in-stent mobile plaque aspirated with a distal access catheter.Case Presentation: A 74-year-old male underwent CAS for symptomatic internal carotid artery stenosis and postoperative course was thought to be good, but in-stent mobile plaque was detected by carotid duplex at postoperative day 6. As mobile plaque is a high risk for stroke, we performed plaque aspiration with a distal access catheter, without neurological deficit or a new cerebral lesion in magnetic resonance imaging. We present a case report, including a literature review, of acute thrombosis or in-stent plaque protrusion.Conclusion: Aspiration removal may be effective for in-stent mobile plaque, which is expected to be fragile, avoiding the disadvantages of increasing stents.
著者
山内 恭 Takashi Yamanouchi
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:2432079X)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-18, 2016-03

今,北極・南極は温暖化しているのだろうか? この質問に答えられるように,解説を試みた.近年の地球温暖化の中で,強い温暖化の現れている地域は北極域と南極半島域である.北極域の温暖化は全球平均の2倍以上の温暖化で,北極海の夏の海氷も著しく減少している.何がこの北極温暖化増幅をもたらしているのか,その原因を探った.一方,南極では,南極半島や西南極で温暖化が激しいのに対し,東南極では温暖化が顕著にはみえない.なぜ,温暖化が抑えられているのであろうか.オゾンホールが関係しているという説を述べる.さらに,北極温暖化の影響で,中緯度に寒冷化が起こる現象がみつけられ,様々な議論を呼んでいる.今後の研究が期待される.
著者
金戸 進 山内 恭 Susumu Kaneto Takashi Yamanouchi
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.459-476, 1999-11

第38次南極地域観測隊ドームふじ観測拠点越冬隊9名は, 1997年1月25日から1998年1月24日までの1年間, ドームふじ観測拠点での3年目, 最終年の越冬観測を実施した。今次隊では, 気水圏系プロジェクト研究観測の「氷床変動システム研究観測」と「南極大気・物質循環観測」を主に実施した。前者では, 36次隊から続けられた氷床深層掘削が中心課題として計画されていたが, 前次隊末のドリルスタック以来, 液封液の補充を続けたがドリルを回収できず, 深層掘削の再開には至らなかった。しかし, 前年までに掘削された氷床コアの現場処理・解析を続け, 多くのコア試料を持ち帰った他, 雪氷観測, 浅層掘削, 内陸旅行観測を行った。後者では, 新たな観測として, ライダーによる極域成層圏雲の観測やGPSゾンデによる高層観測, 大気循環場の観測等を精力的に実施し, 初めて内陸での極成層圏雲の通年の盛衰を捉えたり大気循環場のブロッキング高気圧に伴う熱や水蒸気の流入を捉えるといった成果を上げることができた。これら観測を支える設営面では, 水作りのための雪取りや, 燃料ドラムの搬入, 低温下での車両の立ち上げに苦労した。燃料事情は厳しかったが, 昭和基地からの補給を行ったことで内陸調査旅行が可能となった。越冬最後に, 基地の閉鎖作業を行い, 基地を後にした。
著者
山内 恭 Takashi Yamanouchi
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.58-95, 1999-03

第38次南極地域観測隊昭和基地越冬隊31名は, 1997年2月1日から翌年1月31日まで1年間昭和基地での越冬観測を実施した。今次隊より, 研究観測は, 新しくプロジェクトとモニタリングの2本立てで計画され, 多彩な観測が実施された。プロジェクト研究観測では「東南極のリソスフィアの構造と進化の研究(シール計画)」「南極大気・物質循環観測」が重点的課題であり, 前者は夏期のアムンゼン湾域での調査が, 後者はドームふじ観測拠点での観測が中心となったが, 昭和基地での越冬中も関連観測が多く行われた。また, モニタリング研究観測としては, これまで定常観測として行われていた地震観測の他, オーロラ光学観測, 大気微量成分観測, 生態系モニタリング, 衛星データ受信等, 地球環境の長期的監視が必要な観測を着実に推進した。野外へは, 数多くの沿岸露岩域への生物, 地学調査や, みずほルートでの地球物理観測旅行が行われた他, 航空機観測も精力的に実施した。3年目のドームふじ観測拠点での越冬観測が続いていたため, これを支えるための夏期の人員・物資輸送の旅行に加え, 越冬中も補給旅行を実施した。10月から11月にかけ, 44日間の長期旅行となり, 8名が参加, 燃料補給等を行った。これらの基地, 野外観測を支えるための設営作業も多忙をきわめた。昭和基地整備計画に基づく, 新居住棟の建設が夏期間から続き, 6月に完成, 入居となった。基地施設は着々と整備が進んでいるが, それだけに維持管理の仕事量は増加し, 設備面で追いつかない面も見られた。野外活動のための雪上車類の整備, 旅行準備も大仕事であった。環境保護を目指し, 不用建物の解体, 廃棄物持ち帰りに努めた。大きな障害もなく進んだ越冬と思われたが, 11月末になって急病人が発生した。「しらせ」の昭和基地への急行を要請し, 病気の隊員は「しらせ」により予定を変更して南アフリカ, ケープタウンへ搬送, 帰国させた。
著者
Kaori Horii Takashi Yamanouchi Yasuro Kadono
出版者
The Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica (ISSN:13467565)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.111-116, 2017 (Released:2017-09-12)

Potamogeton ×tosaensis Kadono, Horii & Yamanouchi (Potamogetonaceae) is described here as a new hybrid. Although similar to P. octandrus, it is morphologically distinguishable in several traits. Most conspicuous of these are the connate stipules and fusiform turion bearing one acerose leaf. The plants were found only in and around Kochi City, Shikoku. Potamogeton octandrus and P. pusillus are the putative parents.
著者
牧野 行雄 塩原 匡貴 村松 久史 川口 貞男 山内 恭 田中 正之 小川 利紘 増谷 浩二 森井 正夫 Yukio Makino Masataka Shiobara Hisafumi Muramatsu Sadao Kawaguchi Takashi Yamanouchi Masayuki Tanaka Toshihiro Ogawa Koji Masutani Masao Morii
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.1-22, 1985-12

南極中層大気の総合観測(Antarctic Middle Atmosphere Program)の一環として, 南極昭和基地において1983年3月24日から1984年12月29日まで(第24次および第25次南極地域観測隊)太陽光の赤外分光測定による大気微量成分(N_2O, CH_4,CFCl_3,CF_2Cl_2,HNO_3)の観測を行った。使用した分光計の分解能は最高0.1(cm)^<-1>まで設定可能であるが, 観測時間の長さやS/N比を考慮して0.8(cm)^<-1>で通年観測を行った。延べ111日間に計487個のスペクトルを得たが, これらは最終的に磁気テープに記録し大型電子計算機で処理する。測定されたスプクトルのS/N比から, CFCl_3(850(cm)^<-1>), N_2O(2576(cm)^<-1>), CH_4(6004(cm)^<-1>) のカラム密度は, それぞれ±40,±2,±6%の測定誤差を有することが見積もられる。特に1000(cm)^<-1>域のより精密な測定のために, 今後, 高感度検知器(MCTなど)の安定な使用による観測が望まれる。As part of the Japanese Antarctic Middle Atmosphere Program (Antarctic MAP), columnar amounts of atmospheric minor constituents such as N_2O, CH_4,CFCl_3,CF_2Cl_2 and HNO_3 were determined from measurements of infrared solar spectra for the period 24 March 1983-29 December 1984 at Syowa Station, Antarctica (69°00′S, 39°35′E). A Fourier-transform-infrared spectrometer was used to measure the solar spectra. The highest apodized resolution of the spectrometer is 0.1(cm)^<-1> (full width at half-maximum), but the resolution of 0.8(cm)^<-1> was adopted in routine operation because of an economy of data processing time and of better signal to noise (S/N) ratio. The accuracy of measurements is estimated from S/N ratios of the obtained spectra; typical errors of measured abundances were ±40,±2 and ±6% for CFCl_3 (at 850(cm)^<-1>), N_2O (at 2576(cm)^<-1>) and CH_4 (at 6004(cm)^<-1>), respectively. A MCT detector (cooled at 77 K) is desirable to attain higher resolutions (&acd;0.1(cm)^<-1>) and larger S/N ratios.