- 著者
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小長谷 有紀
Yuki Konagaya
- 出版者
- 国立民族学博物館
- 雑誌
- 国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.4, pp.425-447, 2013-03-29
2012 年11 月14 日,モンゴル国政府は「チンギス・ハーン生誕850 周年」記念行事をおこない,エルベグドルジ大統領は,チンギス・ハーンの末裔たちがひろく分散しているという歴史を利用して,中央ユーラシア諸国との国際的な協働的関係を強調した。1989 年の民主化以降,こうしたチンギス・ハーンをめぐる政治的な利用が活発化しており,一般にモンゴル社会でチンギス・ハーン崇拝がつよまっている。こうしたナショナリズムとむすびついた,近代的なチンギス・ハーン崇拝の起源について考察するために,本稿では,社会主義以前の中国内モンゴルで日本人によって流布されたと思われる「肖像画」と「軍歌」に着目し,協働的ナショナリズムが明示される資料をあきらかにした。