著者
大山 龍一 清水 裕一 太田 保夫
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.131-138, 1994-06-01

電解質を加えた水を電磁波処理した特殊活性水は, 作物の生長促進および抑制, 並びに成熟促進などの効果が知られている.本報では, ケツルアズキを供試して, 特殊活性水の作用特性についてエチレン生成と関連して検討を行った.本実験ではケツルアズキの種子を特殊活性水で浸漬処理し, 25℃下で5日間培養した.暗黒条件では培養2日目に特殊活性水処理の芽生えが, エチレン生成量の増大を伴い, 胚軸と種子根の伸長を抑制, 胚軸+根重/全体重比を減少させた.しかし, 5日目には特殊活性水処理区の胚軸+根の重量は無処理区に勝った.光条件での培養では無処理区のエチレン生成量も多く, 特殊活性水処理によるエチレン生成の増大は有意差がなかった.また特殊活性水処理による芽生えの生長の差異はともに認められなかった.
著者
井上 裕嗣 米本 仁巳 島川 泰英 松田 昇 恩田 聡
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.265-269, 2004-12-01

沖縄県におけるアテモヤ'ジェフナー'の立ち枯れの発生要因を調査するため,栽培園の台木と土壌条件を調査した.さらに,冬季出荷を目的に台木が樹の生育および夏季切り返し剪定による着花量に及ばす影響を調査した.その結果,立ち枯れはポンドアップル台木で発生が多く,バンレイシ台でも土壌排水性の不良な園で見られた.台木としてチェリモヤ,アテモヤ,バンレイシを用いて生育させたところ,台木幹周はチェリモヤ,アテモヤ,バンレイシ台木の順で,穂木幹周はアテモヤ,チェリモヤ,バンレイシ台木の順で大きくなった.チェリモヤ台木では台勝ち現象が見られた.樹冠面積と個葉の面積における台木間の違いは台木幹周で見られた台木間の違いと同様な傾向で,バンレイシ台木で有意に小さかった.着花数は,7月および8月剪定ではバンレイシ台木で有意に多く,総着花数も同様の結果であった.以上の結果から,チェリモヤとアテモヤ台木は樹勢が良好で,経済栽培に十分な着花数が得られ,これらは沖縄でのアテモヤ栽培用台木として適しているものと思われた.バンレイシ台木はわい化に有効であるが,排水不良な沖縄の国頭マージ土壌では立ち枯れが発生した.