著者
鈴木 康司 堀口 利之 土田 みね子
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.486-494, 1998-12-10 (Released:2010-10-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

We conducted experiments to determine the changes in swallowing attributable to differences in the property of the materials to be swallowed. The maximum swallowing capacity for water and 2% Throughsoft STM (an aqueous solution containing a starch power) was always larger by about by 20 ml for water than for 2% Throughsoft STM, though the absolute amount swallowed varied with each individual. On the other hand, the concept of ease in swallowing, presumably involving a light load was advanced in this study. Bolus volume of each swallow during continuous swallowing was close to that of easy swallowing. The volume did not apparently differ from that of water nor that of 2% Throughsoft STM. These results seem to suggest that the root of the tongue judges the property of the material to be swallowed before the completion of the stage II of swallowing, at latest, and actively determines the appropriate amount of material to be swallowed.
著者
池田 陽一 久保田 彰 古川 まどか 佃 守
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.264-270, 2002-06-10
被引用文献数
2

頭頸部癌1次治療後に肺転移検索目的で行う胸部単純X-p検査の意義を検討した。1次治療後の胸部画像検査は,1~6カ月ごとの単純X-pと,1年に1~2回のCT検査を行っている。1987年以降当科を受診した遠隔転移および重複癌のない頭頸部癌新鮮例655例中,局所制御後に肺病変が出現したものは27例(4.1%)あり,23例が単純X-pで,4例がCTで発見された。その内訳は転移性肺癌22例,原発性肺癌5例であった。肺病変判明までの期間は平均23.0M(カ月)(1.9~90.9M)で,肺癌判明後の生存期間は平均11.5M(0.3~57.6M)で,5年生存率は0%であった。Wilcoxon法で生存率の有意差検定を行うと,良好な予後を認めたのは組織別にみた腺様嚢胞癌のみで,他はすべて有意差を認めなかった。以上より,1次治療後の単純X-pで肺転移,原発癌を発見しても予後不良であり,手術・放射線により明らかな延命は認められなかった。胸部単純X-p検査の再考とともに,治療については外来化療などQOLに配慮することが重要であると考えられた。
著者
平井 敏弘 山下 芳典 吉田 和弘 香川 佳寛 桧原 淳 井上 秀樹 峠 哲哉
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.83-87, 2002-04-10
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
木下 優子 矢久保 修嗣
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.379-383, 2009-10-10 (Released:2009-10-25)

漢方治療ががん治療のQOL改善に効果があり,症状緩和においても有効である。院内マニュアルに収載されるなど使いやすいものとしては,1)全身倦怠感の改善に十全大補湯,2)食欲不振に補中益気湯,3)胃の症状(食欲不振や嘔気嘔吐など)に茯苓飲と六君子湯(胃の入り口でつかえてうまく入っていかない場合:茯苓飲,胃もたれ感が強い・胃の中に物がたまって出て行かない場合:六君子湯),4)化学療法・放射線療法の副作用軽減に開始前(できれば2週間以上)より十全大補湯,胸椎に放射線治療を行っているときの食道の不快感には加味逍遥散,化学療法中の下痢に半夏瀉心湯や啓脾湯(カンプトテシンの下痢:半夏瀉心湯,それ以外の場合:啓脾湯),化学療法時の痺れ:牛車腎気丸,5)イレウスやモルヒネによる便秘に大建中湯,6)口内炎に立効散,7)吃逆に呉茱萸湯または芍薬甘草湯,いずれも無効な場合は柿蒂(してい)の使用を検討する,8)悪夢を見るときに桂枝加竜骨牡蛎湯,9)ビスホスホネート製剤(ゾメタ)の副作用による痛み・発熱に麻黄湯,10)下血などの消化管出血に田七人参(粉末)などがあり,緩和ケアの現場で有効であると考えられる。
著者
服部 知洋 馬島 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.448-453, 2007 (Released:2007-10-25)
参考文献数
17

呼吸器疾患患者が重症化し気道確保の選択を迫られる場合,第一選択は経口気管挿管である。しかし,人工呼吸管理が長期化する場合は経口気管挿管や気管切開チューブによる換気の欠点,利点を把握し,それぞれの呼吸器疾患の病態も考慮した上で,気管切開の選択をすることが実際と考えられる。また,経口気管挿管から気管切開への切り替えのタイミングは,経口気管挿管開始時から7日以内に人工呼吸器からの離脱ができない場合,理想的には10日以内に気管切開に変更することが望ましいと考えられる。気管切開チューブの抜去については,人工呼吸器から離脱し,上気道閉塞がなく,気道分泌物が減少し,十分な咳嗽力があれば抜去できると考えられる。しかし,個々の患者の呼吸管理状況を正確に把握し判断,実行するのが現状である。