著者
市丸 喜久 牧山 繁生 水田 徳美 土橋 利則 釘本 忠人 岩田誠一郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.13-15, 1992-12-21
被引用文献数
5

水稲潮風害の実態調査を実施し,以下の事を明らかにした。1.NaCl付着は,海岸から8?地点まで広範囲に認められた。水稲に対する付着の様相は一定しており,穂に付着する割合は,10%であった。2.一穂当たりNaCl付着量は,海岸線付近で2.5?を超え,2.5?地点までは0.5?以上の値であった。3.収量調査の結果,0.3?が潮風害発生限界濃度と推察された。4.今回の水稲の生育ステージ(出穂後4〜15目)の範囲で,一穂当たりNaCl付着量および穂の損傷程度と,減収率の関係を明らかにした。5.4.の手法により,潮風害遭遇後5目以内に被害程度を推定することが可能である。
著者
吉田 智彦 楠本 亮也
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.61, pp.70-71, 1995-05-15

1.キビを5月と8月の2回播種して二期作栽培し,その生長解析を行った。5月播きのCGR及び太陽エネルギー利用効率の最大値は20.5gm^-2d^-1と2.67%であり,それに対し8月10日播きは6.11gm^-2d^-1と0.81%であった。2.主稈の収量への寄与率は5月播きは60%,8月播きは72〜74%であった。主稈の寄与率の高い品種が多収であった。
著者
丸峯 正吉 坂井 健吉
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.16, pp.4-6, 1961-04

最近甘藷では原料用高殿紛多収品種の早期育成が望まれている。このため従来の品種間交配によるほか,野生種,近縁種との交雑による種属間雑種の利用や自殖系統の利用など新しい方法が取上げられているが,X線照射による突然変異の利用もまた注目すべきものと考えられる。X線照射による甘藷の突然変異に関する研究は真島,佐藤氏(1958)のものを除き余りないようであるが,甘藷の品種は遺伝的にはきわめてヘテロであって,変異が現われ易いこと及びその変異は栄養繁殖によって瞳ちに利用することができるので,目的とする品種の早期育成には好都合である。前記真島民等は甘藷農林1号を用い,X_1まで観察した結果,藷の皮色,茎の形状にかなり多くの変異が現われたことを報告しているが,蔓や藷の収量及び澱粉歩留等所謂ポリジーン形質に関しては詳細な圃場試験が必要であると述べている。われわれはポリジーン形質に関する変異の程度をみることを主とし,合せて既成品種の中にある不良形質をX線照射により除去することができれば,その品種の価値を一層高めるものでもあるので,早掘用品種フクワセの皮色の淡紅を鮮紅もしくは赤に,原料用品種ナガムラサキの肉色にある紫最を除去することを従として両品種にX線を照射し,1958年より2ケ年各種形質の変異の状態を観察したのでその結果を報告する。
著者
杉本 明 氏原 邦博 前田 秀樹 下田 聡
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.52-54, 2001-05-15

琉球弧におけるサトウキビの安定多収栽培実現の主な障害は, 収穫後の萌芽が不良で株出しの生産力が低いこと, および, 台風, 干ばつ被害を受けやすいことである. 琉球弧の気象条件に適応性の高い栽培法を確立するために, 秋植え・秋収穫による1年1作株出し多収栽培法成立の可能性を検討した. 極早期型高糖性品種を用いた秋植えは, 気象災害に比較的強い夏植えと同様の生育経過を辿り, 1年後には収穫しうる糖度に達する可能性が高い. 秋収穫における萌芽時の地温は, 冬収穫時の地温に比べて萌芽適温に近く(宮里 1986, 杉本 2000), 既存の品種を10月に収穫すると, 株出し栽培の萌芽・初期生育が改善されて梅雨時期には生育旺盛期に達することが報告された(杉本 2000). 梅雨前に大きく生長したサトウキビは梅雨の降雨を最大限に利用して旺盛に生育し, 多収になるとともに, 土壌表面の植物被覆により, 土砂流出抑制への貢献も期待される. 本報告では, 収穫時期の異なる1年栽培の株出しサトウキビに認められる蔗茎収量および可製糖率に関連する特性の差異を報告する.
著者
比屋根 真一 真境名 元次 比嘉 明美 儀間 靖 新里 良章 生駒 泰基
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.74, pp.39-42, 2008-05-15

沖縄本島南部地域のサトウキビ畑における曝気処理水の散布時期と量を求めるため,ジャーガルにおいてタンクモデルを適応した.本モデルによる土壌水分量のRMSEは2.5%であり,タンクモデルによる土壌水分量や水収支量の推定は可能であると判断した.過去30年間の降水量をタンクモデルに入力し,作土層からの浸透水の発生時期を検討すると,梅雨時期の5〜6月と台風等の豪雨が認められる8〜9月に多く認められた.月あたりの浸透水量と降水量の関係を検討すると,両者の間に統計的に有意な正の相関関係が認められ,浸透水量=0.8061×降雨量-71.776の関係式が得られた.この式から浸透水が認められない降水量は89mm/月となった.日あたりの降水量と浸透水量の関係から,土壌水分の違いによる作土層から浸透水が認められない降水量は,初期しおれ点付近では27.2mm/日,圃場容水量から数日後のそれは4.5mmとなった.以上より,タンクモデルを用いてジャーガルにおける曝気処理水の散布時期と量が明らかとなった.
著者
高瀬 昇 坂田 公男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-24, 1962-05-01

従来,甘藷の栽培で窒素は澱粉歩留りに無関係,燐酸独歩留りを高め,加里は歩留りを低下させるといわれている。これらの関係を甘藷品種および肥料の組合わ背に.おいて検討する。
著者
財津 昌幸 古明地 通孝 田中 滋郎 井口 武夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.49, pp.70-72, 1982-12-10

1栽植株間の広狭に対する株当総分枝数の増減には品種間差がみられ,タチマサリは株問とする25〜7.5?の問では増減しないが,ナカテユタカ,千葉半立は株間を広げるほど増加した。2ナカテユタカと干葉半立は株問25?以下の株当総分枝数ではほとんど品種問差異が認められなかったが,株問426棚の疎植区では干葉半立の分枝発生が著しく多くなり,両品種の特性の差が明確になった3.子葉節分枝の節間長が最長となる節位は,タチマサリでは株問を変えても比較的基部の第5〜第6節間にあり,変化しないが,ナカテユタカは株間が狭くなるにつれ上位節に移動し,干葉半立はすべて上位節に位置した。
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.12, pp.83-86, 1958-05-01

司会(瀬古)早期栽培で起るいろいろな問題について討論を願いたい。早期栽培を大きく二期作と普通早期作に分けて,先ず二期作についていろいろな問題が出てきている。今後,二期作は九州でどの程度行けるか,またどこを問題として研究を進めるか。北九州について森さんからお願いしたい。
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.13, pp.56-61, 1958-12-08

これから討論会を始めますが(2時半から4時半迄)2時間の内に終りたいと思います。水陸稲の早期栽培は暫次増加していますが,予想し北面積が足ぶみの状態になり,水利の問題でひつかかり,或いは昨年の19号,20号台風による收穫期の籾の被害,品質等が足ぶみの原因にもなった所が多いようです。本年は干〓があり,水稲早期栽培は普通栽培より有利な面が多いので,明年は格段の普及が予想されます。燃しこの水陸早期栽培の後作に,何をもってくるか,これが問題になってくるわけです。これが今日の討論会の主体でありまして,飼料作物を主体に検討していただきたいと思います。飼料作物は家畜の飼育と,もちつもたれつの関係もあるわけですし,また水稲早期栽培が初まって以来3年おくれて飼料作物の導入の体型が研究されたのですが,その結果が各々出ているし,県においてはまだ検討される迄になっていないところもあるかと思いますけど,今後更に連絡試験等行う必要もある事と思います。今日は田中,井手迫両氏を中心に各県の事情や作付体型について討論をお願いします。
著者
上原 泰樹 手塚 隆久 伊藤 延男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.55, pp.42-45, 1988-12-15

筆考らは白葉枯病耐病性の遺伝資源として有効利用を図る目的で導入品種の白葉枯病低抗性を検定してきたが,その中のインド原産のDenaはI〜V群菌すべてに対して低抗性を示すことを見いだした。
著者
井口 睦夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.18, pp.34-35, 1962-05-01

水稲の葉の生理については,石塚・田中氏等の興味ある報告があり,一方,光合成の研究が進展するにつれて,光合成の場としての葉の生理に新たな関心がよせられつつある。筆者は1959年,二期作における一期稲の施肥法試験を行なった際に,窒素の追肥時期と葉泣別葉身内窒素の推移について若干の調査を行なったので,成績の概要を報告し,大方の御叱正を仰ぎたい。なお,この実験にあたって御指導いただいた田尻氏,並びに御協力をえた伊藤・立島・中原の諸氏に深く感謝する。