著者
施 錦芳
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
専修大学社会科学研究所月報 (ISSN:0286312X)
巻号頁・発行日
no.570, pp.18-30, 2010-12-20

二年前、中国の対アフリカ援助に関する論文をまとめた(専修大学社会科学研究所月報、2008 年10 月号)。その際、2000 年までの中国の対アフリカの援助の実態、政策などを研究し、二つの案件(タンザニア-ザンビア鉄道事業、エチオピア・アジスアベバ環状道路事業とゴテラ立体橋事業)に対する事例研究を行った。21 世紀に入って、特に、2000 年10 月の第一回中国・アフリカ協力フォーラムの開催に連れて、中国は対アフリカ援助をさらに拡大し、国際社会の注目を集めている。本論文は、2000 年以来、中国の対アフリカ援助の特徴、内在する問題点を取り上げて分析する。五つの部分で構成されている。第一は研究の背景、手法および目的について述べる。第二は中国の対アフリカ援助の実態を紹介する。第三は四回にわたる中国・アフリカ協力フォーラムを考察し、中国の対アフリカ諸国援助の政策変遷を探る。第四は、2006 年以降の中国・アフリカ経済社会協力について述べる。第五は中国の対アフリカ援助の特徴を探り、中国の対アフリカ援助に関わる問題点を取り上げて分析する。
著者
小川 健
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
専修大学社会科学研究所月報 = The Monthly Bulletin of Social Science (ISSN:0286312X)
巻号頁・発行日
vol.646, pp.1-14, 2017-04-20

本稿では関数電卓なしでの実効為替レートの近似計算公式を裏付けるために、加重相乗平均を加重相加平均で近似計算許容可能かどうかを検証する。本手法が成立すればGDP の平均成長率など経済学の多くで必要となる(加重の)相乗平均に対し通常の電卓で計算可能な(加重の)相加平均で近似計算が可能になり、殆ど関数電卓を持っていない中堅私大以下の低学年においても経済学の通常の小テスト及び定期試験での座学による計算問題の可能性が広がる。近似では自然対数のテイラー展開を利用した線形近似、つまり x≒1 のとき ln(x)≒x-1 の適用範囲に落とし込んで計算を行う。なおこの近似は本来、1次同次のコブ=ダグラス型関数に相当する加重相乗平均を、多変数関数と見なした時のテイラー展開を利用した線形近似で直ちに導出できるものである。検証の結果、この近似公式による誤差はかなり大きく見積もっても、1から最大で小数第n 位以内のずれに対しおよそ小数第2n 位までの誤差に収められることが分かった。これは高々数%以内のずれが多い数値例に対し、少なくとも教育上は加重相乗平均が加重相加平均で近似計算可能であることを意味する。