著者
冨吉 素子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.52, pp.43-54, 2011-02

一昔前の「母」は、多くは「慈母」といわれ、親しまれ、尊敬される存在であった。現在もまた多くの母親はそうであり、なおいっそう親しい存在でもある。しかし、母親の過保護、過干渉により苦しんで日々を過ごしている青年男女も多い。臨床精神医学で報告されたこの事実を、家族調査報告のデータにより社会学的に検証できるかどうか、分析を行った。その結果「過干渉」の母親は、「規範性」の高い母親と関係するという傾向性を得た。
著者
工藤 邦彦
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.57, pp.73-85, 2016-02

奄美大島名瀬在住時に作家、郷土史家、教師、司書と多彩な側面をみせた文人図書館長・島尾敏雄が鹿児島県立図書館奄美分館と後継の県立奄美図書館に遺したコレクションの形成過程を検証した。「島尾敏雄コレクション」は、その形成過程から広域の地域・郷土資料群を意識した「琉球弧的資料群」と、島尾文学の源流である「文学館的資料群」とに大別できる。
著者
中山 昭則
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.169-180, 2012-02

本研究は、フランス南部ラングドック地方における近年の地域構造の特性を明らかにすることを目的とした。ラングドック地方は1960年代後半から大規模な観光開発が国家プロジェクトとして実施された。また、その中心都市モンペリエ市は1980年代以降大胆な都市再開発およびトラム導入が行われ市街地の構造は大きく変化した。このように、事例地域では地域構造は大きく変容していることが判明した。尚、本研究は2011年3月モンペリエにて研修の機会を得た際に行った現地視察をもとに進めた。
著者
石井 保廣
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.50, pp.95-105, 2009-02

別府大学創立100周年記念特集号
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.35-47, 2014-02

〈はじめに~4.7月18日付明行坊・経聞坊宛稲葉通孝書状についての検討〉関ヶ原の戦い福島正則清須城稲葉通孝書状浅野幸長書状筆者は2012年3月に拙稿「フィクションとしての小山評定-家康神話創出の一事例-」(『別府大学大学院紀要』14号)を発表して、従来、"小山評定"は、慶長5年7月25日、徳川家康が上杉討伐のために東下した諸将を小山(下野国、現栃木県小山市)に招集して、上杉討伐の中止と諸将の西上を決定した軍議として通説化して扱われてきた点を批判し、一次史料の詳細な内容検討によりこれまで通説で肯定されてきた"小山評定"が歴史的事実ではなく、フィクションであることを論証した。この前掲拙稿の内容に対して、本多隆成氏は同年10月に同氏の論文「小山評定の再検討」(『織豊期研究』14号)を発表し、詳細な御批判を加えられた。よって、本稿では、本多氏によって前掲拙稿に加えられた批判点を検討して反論するとともに、前掲拙稿で検討できなかった諸点についても本稿では論及して考察した。
著者
河野 豊
出版者
別府大学
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.A17-A26, 2007-02-15

I carried out this survey in 6 points of Oita prefecture in Japan in Sep.2004. There are 3 main potential forms in Oita dialect-[-kiru], [-a (ra) reru], [-e (re) reru]-. As the result of this survey, I understood that [-kiru] and [-a (ra) reru] come from the northeast Oita and that [-e (re) reru] is a form that has been used for a long time. For the present elderly people, [-kiru] means" A has an ability to..." and [-a (ra) reru] means" Regardless of ability and feelings of A, ... is possible judging from the situation". The distinction between the two is clear for the elderly people. Junior high students and a part of the middle-aged people, however, seem not to make the distinction. The result of Hita city is the most stable. [-e (re) reru] meant" As for A, ... is possible or impossible according to his/her situation at the time" for several years 50 to 60 years ago. But [-e (re) reru] has changed its meaning to" A is glad to be able to .../ A cannot do ... and is disappointed". This form is becoming to be used for any of the meanings of potential expression. Under the influence of this phenomenon, the distinction between the two meanings is disappearing among junior high students.
著者
松田 美香
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.50, pp.139-148, 2009-02

別府大学創立100周年記念特集号研究ノート
著者
松田 美香
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-13, 2012-02

大分県中津市方言において使用されている文末詞デ(-)には、2種類の意味があるとされている。先行研究では、<疑問>のときは「軽く短く」、<告知>のときは「強く長く」発音されると報告されている。 50年間の音声資料を音声分析した結果、<疑問>のときは下降調の、<告知>のときは非下降調のイントネーションで実現されていることがわかった。 <疑問>文のイントネーションが下降調であるのは、鹿児島・熊本・長崎と同様である。
著者
佐藤 瑠威
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.189-198, 2014-02

研究ノート哲学と反哲学知識愛神と人間と世界哲学と宗教と科学歴史信仰19世紀における個別諸科学の成立と発展によって、長い間ヨーロッパにおいて学問の中心的位置を占めてきた哲学は、かつての位置を失い、さらにはその存在理由さえ疑われている。本稿では哲学の存在理由を弁証する立場から、哲学に残された重要な主題として「生きる意味」の問題を取り上げ、なぜ哲学が宗教に委ねるのではなく、この問題を自ら考察すべきであるかを論じる。
著者
林 眞帆
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.87-95, 2012-02 (Released:2012-06-25)

本稿は、日本生命財団高齢社会実践的研究助成を受けて実施した研究の成果に依拠し、滋養的環境の中で生きる認知症高齢者の世界について、C.ジャーメインの生態学的視座をもとに「時間・空間」の側面から考察した。結果として、認知症高齢者の生きる世界は、過去・現在の時空間を往還しながら生を育む本人とそれを支持する滋養的環境の存在によって形成されていることがわかった。