著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.57, pp.113-123, 2016-02

関ヶ原の戦いに関する諸史料を検討する場合、関ヶ原の戦いに関係した部将が発給した書状などの一次史料(同時代史料)の内容検討が重要であるが、それと同時に、当時、在京していた公家・僧侶などの日記における関ヶ原の戦い関係の記載について検討することも重要である。よって、本稿ではこうした視点から慶長5年3月から同年12月までの公家・僧侶などの日記における関ヶ原の戦い関係等の記載を筆者(白峰)が現代語訳して時系列データベースとしてまとめ、それを見ていくうえでポイントとなる箇所について、若干の説明を小論として加えた。
著者
段上 達雄
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.54, pp.21-37, 2013-02

佐伯市米水津宮野浦や色利浦に伝わる盆の傘鉾は物故者の遺品を吊り下げたりするが、地元では傘鉾に故人の霊を憑依させるためと考えられている。同様なものは、三重県志摩地元や高知県宿毛市沖の島にも見られ、志摩の漁民による伝播の可能性が考えられる。
著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.179-188, 2014-02

著者の名字の角は中のたて棒が突き抜ける人的資源会計、無形資産会計、intangible、イングランドプレミアリーグ、移籍金1990年代以降の英国において、人的資源に関わって支出した金額を実務上、資産計上している稀有な事例がある。英国プロサッカークラブでは、他のクラブから選手を引き抜く際に支出した金額を無形固定資産として貸借対照表に計上しているのである。この事例については複数の文献で紹介されているが、その経緯は明らかではない。そこで本稿では、先行研究や当時の実務を検証することを通じて、起源や目的を明らかとすることを目的とする。
著者
浅野 則子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-7, 2019-02

大伴家持と妻大嬢は大伴家として望まれた婚姻であり、幸せな関係を維持したとされている。しかしながらそれを証明するのは歌のみである。二人の関係が安定したものとなる時期以前の「二人の空白期」とされる時期に家持は「亡妾」への挽歌を作っているが、この挽歌により万葉集において大嬢との幸せな関係が強調されている。
著者
工藤 邦彦
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.137-149, 2014-02

図書館パスファインダー情報資源情報探索司書および司書教諭養成本稿では、司書・司書教諭課程と司書講習で試みた図書館パスファインダーの作成演習を考察した。受講者は作成過程で図書館が所蔵する多様な情報資源の存在を認識し、主題に則した情報探索手順を理解したことが分かった。有能な新規司書・司書教諭養成のために、ビブリオグラフィック・インストラクションを意識した図書館パスファインダーの作成指導が必要である。
著者
佐藤 敬子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.151-160, 2015-02

「男女共同参画基本法」が公布・施行されて15年が経過した。その中で定義されている「男女共同参画社会」とは「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会」(第2条)としている。各自治団体においても「男女共同参画基本計画」を策定してその基本理念のもと様々な取り組みがなされているところである。そのような中、大分県日田市では平成23年から「男女共同参画女性育成事業」として「ひた女性人材育成倶楽部"キアラ"」を立ち上げ、地域や社会で活躍する女性リーダーの育成を始めた。本研究は第4期生の育成に関わり、コーチングの手法をもとに女性のエンパワーメントのための研修の記録をまとめたものである。
著者
松田 美香
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.11-22, 2015-02

大分と首都圏の高年層・若年層(同性同士)のペア計4組の談話調査を行い、依頼の談話において依頼者の働きかけを比較した結果、大分談話のほうが、より積極性が見られることがわかった。大分方言談話には非依頼者の都合に介入する例が多く見られ、特に高年層ペアには「アンタ」「オマエ」のフィラー的使用が顕著に観察された。これらは実質的な二人称代名詞でもあり、対人関係に関わる機能を見出すことができる。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.65-77, 2012-02

慶長5年9月15日の関ヶ原の戦いに至る政治的・軍事的動向を把握するうえで、同年6月~9月における徳川家康の軍事行動について検討することは重要であり、必要不可欠な考察であると言えよう。本稿では、当該期に家康が発給した多くの書状を中心にその内容分析をおこない、昨年(2011年)3月に刊行された『愛知県史』資料編13、織豊3の所収史料など新出史料の分析もおこない、新知見を得ることを目指すものである。
著者
瀬戸口 昌也
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.109-119, 2012-02

本論文は、ディルタイの「体験」概念の特徴である「体験の実在性」と「体験の有意味性」の関係について考察したものである。ディルタイにとって体験とは、心的状態の「知覚化」と、事物や人物、出来事の「内面化」という2つの相反する方向を持つ態度として現れる。両者の相互関係を通して体験は形態化されるが、形態化の際の素材の抵抗経験により、体験の実在性が意識されるとともに、意味カテゴリーが生じることを明らかにした。
著者
山野 敬士
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.45, pp.13-24, 2003-12

The aim of this paper is to explore how we can interpret the subjects employed in Tennessee Williams's Kingdom of Earth (1968). First, we will observe the racial representation of Chicken (the only black character in williams's plays) and examine the paradoxical situation in which his function as a black makes the will to reverse the social hierarchy possible but the representation of his sexuality makes the reversal ambiguous. Second, we will suppose that the play has an aspect of meta-psychology, analyzing the three characters by comparing them with the psychological theory. Last, we will consider the image of "Freak Show" that the author put in the play and inverstigate how the subjects we have discussed in the other sections will affect the relationship between the audience and the play as a Freak Show.
著者
三重野 佳子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.27-37, 2012-02

S.P.キャスティールは、20世紀のユダヤ系作家の作品では、ユダヤ人たちのアメリカに根付きたいという願望が、自然への憧れに表れていると分析した。本論では、現代ユダヤ系作家マイケル・シェイボンの『ワンダー・ボーイズ』で自然がどのように捉えられているかを考察した。主人公は新たな自己を求めて西部へと旅をするが、自然は「理想郷」ではなく「元理想郷」として、ユダヤ人のアイデンティティの曖昧性と相俟って描かれているように思われる。
著者
安松 みゆき
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-13, 2020-02

小論では、これまで都市単位での建築遺構に注目してきたが、今回は、ナチ政権下では象徴的な意味を持つ事例を取り上げた。そして3回の考察にわたって用いた分析方法、すなわち、破壊(一部破壊も含)、転用、変更なし、廃墟に分析した上で、これ以前に取り上げた事例と比較し検討した。それによって、破壊された遺構には、土地の持つ意味を変えてしまうほどの政治性の有無が深く関わっている可能性が想定された。その場合には、ナチドキュメンテーションセンターなどを設立することで、負の遺産であることを明示していた。ミュンヒェンでは文化都市であるため、総統官邸も芸術関係の転用によって脱ナチ化を実施するなど、都市によっても脱ナチ化の様相は異なっていた。脱ナチ化には問題点も残され、この問題は引き続き留意しなければならない。
著者
王 金林 賀川 光夫
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.30, pp.p41-52, 1989-01
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.60, pp.151-161, 2019-02

本稿は、慶長5年(1600)10月20日に立花家の軍勢と鍋島家・龍造寺家の軍勢が対戦した江上八院の戦い(江上合戦)において、鍋島家側が作成した頸帳(首帳)の内容について考察した。さらに、鍋島家先手の兵科別編成、この戦いにおける戦闘の具体的状況、『佐賀藩諸家差出戦功書』における記載内容についても論及した。 さらに追記では、江上八院の戦い関係の書状として、これまで関係書籍でよく引用されてきた「(慶長五年)十月廿日付吉村橘左衛門尉宛鍋島直茂書状」において、戦場地名を示す「八郎院」という記載は、「八郎院」ではなく「八之院」が正しいことを指摘した。
著者
山野 敬士
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.58, pp.27-37, 2017-02

本論は、映画『ミッドナイト・イン・パリ』を利用して「アメリカ文学史」の講義を効果的に実践する方法を考察したものである。映画に登場するロスト・ジェネレーションのアメリカ人作家達の伝記的事実や作品の読解が、どのような影響を映画鑑賞に与えるかを分析した。また、逆に映画内の描写を考えることが、文学作品の解釈の幅を拡げる可能性も探った。
著者
米元 俊一
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.58, pp.119-136, 2017-02

蒸留器の最初は香料蒸留であり、その後酒に応用された。西への流れは香料と酒蒸留がセットで発展したが東への流れは香料蒸留が徐々に少なくなり、特に雲南に入ってからは蒸し器を応用した蒸留器で造った蒸留酒が主になった。現在、世界の蒸留器の伝播・発生においてニーダムの学説が主流だが、東南および東アジアでは調理上の蒸し文化が酒の製造における原料の蒸しに、さらにその延長上で蒸留に応用され蒸留酒が生まれた。蒸留器(特に本格焼酎)の発生にもう一つの別ルートがあったと考える。
著者
佐藤 瑠威
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.35, pp.p42-51, 1994-01
著者
吉井 文子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.59, pp.181-192, 2018-02

香りの本体は分子である。香りについて化学教育を推進するため、マンガ「超香少年サトル」を取り上げ、マンガの中に出てくる香りの成分を明らかにし、その分子の立体構造を理解しやすいように表示することにした。今回は、特に「食べ物や飲み物」に関わる香りに着目し、分子の構造は分子力学法を用いて求めた。また、マンガの中に現れた香りのはたらきのうち、香りとおいしさ、香りと記憶についての説明を加えた。